11月8日(月) 相場概況
東証一部の騰落銘柄数は値上がり804/値下がり1276
騰落レシオ(25日) 93.73%
空売り比率 40.3%
売買代金 東証一部 2兆8264億円
マザーズ 1635億円
業種 空運、海運、鉱業など上昇。
鉄鋼、水産・農林、建設など下落。
個別 米ファイザーのコロナ治療薬の治験結果を材料にアフターコロナ関連が物色され、JAL(9201)、ANA(9202)の空運株が大幅高になり、HIS(9603)やオープンドア(3926)など旅行関連にも強い買いが入っています。
アフターコロナ関連にフォローの風が吹く中、通期の純利益見通しを引き上げたラウンドワン(4680)が7%を超える上昇になり、上期が大幅増益になったオリンパス(7733)も急伸しています。
日本郵船(9101)、商船三井(9104)、川崎汽船(9107)の海運大手3社がそろって反発しています。
1:4の株式分割を発表したアスタリスク(6522)がストップ高になり、米国子会社の上場を材料にマネックスG(8698)が連日のストップ高になっています。
反面、上方修正を発表するも、コンセンサスに届かなかったJFEHD(5411)が11%超の大幅下落になり、米ファイザーに後れをとることが警戒された塩野義製薬(4507)も大幅安になっています。
通期の利益見通しを大幅に引き下げた大林組(1802)が9%超の下落になり、上期が大幅減益になった清水建設(1803)も急落しています。大成建設(1801)や鹿島(1812)にも連想売りが広がり、大手ゼネコン株が総崩れになっています。
コロナワクチンの治験結果が失望を呼んだアンジェス(4563)がストップ安比例配分になり、連結子会社の上場準備過程における不適切な会計処理が発覚したアウトソーシング(2427)もストップ安になっています。
急落する銘柄が続出し、下方修正を発表したミクシィ(2121)がストップ安になり、直近騰勢を強めていたグローバルウェイ(3636)やINCLUCIVE(7078)もストップ安に沈んでいます。
日経平均は続落!
寄り付き天井の陰線になり5日線(29616円)を割り込んでいます。
陰線が3本連続で出現していますが、明日陽線で切り返すことが出来れば、上昇トレンド中に出現する「押え込み線」ということになり、押し目買いの好機であったということになります。
引け後、7~9月期の連結決算が3979億円の赤字と発表したソフトバンクG(9984)ですが、1兆円の自社株買いも同時発表しており、明日の株価の動き次第で日経平均の方向性も決まってくると思います。
さて、米国ではテスラのイーロン・マスクCEOが自ら保有するテスラ株を売ってでも納税すべきかTwitter上の投票で決めるという前代未聞の行動をとっています。
結果、テスラ株の売却を支持するとの回答が57.9%を超えることになりました。
投票結果に対するマスク氏の反応は確認できていませんが、投票前にマスク氏は「どちらに転んでも投票結果に従う」と公言していました。
もし、マスク氏がテスラ株を売却ということになれば、その額は約2.2兆円もの売却ということになります。
もともと、今回のテスラ株の急騰を演じたのは大量の個別株オプションの買いに始まります。
10/25~27のテスラ株のオプション売買高は9000億ドル余りと現物株の約5倍の売買高になっていました。
個別株のコールオプションの買いは、少額投資ができて、損失も限定(行使価格に届かなければゼロ)になりますので、米国の個人投資家はギャンブル感覚で多様する傾向があります。
投資家のコールオプションの買いが増えると、コールを販売するマーケットメーカー(証券会社)がヘッジのために現物株の買いに走り株価上昇につながります。
株価上昇は空売りの買戻しや、新たなヘッジの現物買いを呼び込み株価をさらに押し上げるという現象がおこります。
「ガンマスクイーズ」と言われるこうした動きが、今回のテスラ株の急騰の背景にあると言われ、一部ではマーケットバブルと評されています。
こうした現象は、逆回転がはじまると、非常にはやいスピードの株価下落につながります。
仮にマスク氏が自己保有の売却に動けば、テスラ株の10%以上の急落は覚悟しなくてはならないと思います。
そして、今回、仮に株価が下落して多くの一般株主の資産が毀損することになれば、一部で論じられている「株式含み益課税」の実現に弾みがつく可能性があります。
今回の件は米株市場のトリガーにもなり得る事象と思われ、今後も注目すべきと思います。