2月8日(水)
【相場概況】
東証プライムの値上がり銘柄994/値下がり銘柄744
騰落レシオ(25日)119.08%
空売り比率 44.6%
売買代金
東証プライム 2兆7877億円
東証スタンダード 695億円
東証グロース 1511億円
【恐怖指数】
Fear and Greed Index - Investor Sentiment | CNN
【業種】
【個別】
メルカリ(4385)が大幅続伸しています。
同社は2023年6月上半期決算を発表していて、営業損益が前年同期18億円赤字から58億円黒字に転換することを発表しています。
通期の市場コンセンサスは65億円程度であり、想定以上の進捗になったことが好感されたようです。
国内のフリマ事業や金融事業が売上を伸ばしたほか、国内外での広告宣伝費を抑制したことが奏功したようです。
一方で、苦戦する米国事業は赤字が広がっています。
同社にとって、懸案事項である米国事業を、いかに黒字にするかが、今後の株価上昇のカギになりそうです。
経営コンサルの山田コンサルティンググループ(4792)が急騰しています。
同社は2023年3月 3Q累計決算を発表し、営業利益が前年同期比75.2%増の23億1600万円になることを公表しています。
コンサルティング事業で経営コンサル案件相談・受注が順調に推移したほか、事業再生コンサルも契約件数が増加したようです。
通期計画27億円に対する進捗率は85.8%になっています。
通期見通しは従来計画を据え置いていますが、上方修正を見込む買いが継続する可能性があると思います。
サンクゼール(2937)が上場来高値を更新しています。
同社は2023年3月 3Q決算を発表しています。
3Q累計(4月-12月)の売上は前年同期比25.6%増、営業利益10.2%増の大幅増収増益になっていて好感されたようです。
ところが、3Q(10月-12月)だけで見ると、売上は17.5%増と大幅増収ながら、営業利益は1.3%増にとどまっています。
原材料高と円安の利益率悪化が見られたことと、上場準備費用が計上されたことが要因のようですが、それを考慮すれば決して悪くない数字です。
株価は買い一巡後手仕舞い売りに押され、上昇幅を縮めていますが、通期上方修正も期待できるだけに、明日以降の値動きが注目されます。
note(5243)がストップ高まで買われています。
同社は最新のチャットAIを活用した創作支援ツール「noteAIアシスタント(β)」を近日公開するにあたり、先行ユーザーの募集を開始すると発表しています。
今回発表した「noteAIアシスタント(β)」は、一般公開から2か月で利用者が1億人を超えたチャットAI「ChatGPT」にも搭載されているOpenAI社のGPT-3を採用しています。
今話題の「ChatGPT」がらみの材料ということで、個人の短期資金が集まったようです。
ただ、同社の既存株主のVCのロックアップ解除水準は510円です。
本日も510円水準ではVC売りと思われる売りが、頭を押さえる動きがありました。
しかしながら、最終的にはストップ高の543円で終わっていて、VC売りも弾切れと見る向きもあります。
明日以降、上場来高値を取りにいけるかが注目されます。
反面、ソフトバンクG(9984)が急落しています。
同社は2023年3月 3Q(10-12月)経常利益が5826億7300万円の赤字に転落しています。
投資先の下落が響いたようですが、ビジョンファンドの赤字幅は縮小傾向にあるとの見方もあります。
今回は自社株買いについての発表がなかったのも失望を呼んだとの指摘もあります。
本日は長めの下ヒゲの足形を形成していますが、落ち着きどころがどの水準か注目されます。
ドリームインキュベータ(4310)が大幅安になっています。
同社は2023年3月 3Q決算を発表していますが、昨年11月に、事業投資先のアイペット売却益約181億円を4Qに計上し、そのうち100億円を株主還元にあてると発表しています。
今回、その一環として20億円の期末特別配当を実施するということを発表していますが、もっと大きな配当が実施されることを期待していた向きも多くいたようで失望売りに押されたようです。
ただ、残り80億円については自社株買いと配当で中期経営計画の最終年度(2025年6月)までに完了させる方針で、詳細は2023年5月の本決算時に発表するとしています。
それだけに、売りは続かず下値には買いが入るとの見方もあります。
【テクニカル分析】
日経平均は続落!
一時、27458円まで下落するも、大引け水準では戻しを見せて5日線(27579円)上をキープしています。
本日は5日線が下値支持線として機能しましたが、明日以降もキープできるか注目されるところです。
注目された、パウエル議長講演ですが、概ね、FOMCのスタンスと変更は見られませんでした。
注目点としては
・QT(バランスシート縮小)について、積極的に考えているわけではない。QTには数年かかる。
→QTは急がなくてもソフトランディングは可能。
・労働市場は循環的でなく構造的
→労働市場の引き締まりがコロナ後遺症で働き手が減っているのであれば、利上げでは対応できない。雇用も緩んでくるだろうとの見方。
FEDwatchも変わっておらず、ターミナルレートも5.25%程度までは許容範囲と思います。
米国にリセッションがないという見方が成り立つのであれば、日本株も買われる動きがあると思います。
【本日のトピック】
さて、日本の決算発表も佳境に入ってきました。
昨日までで、約1/3の決算発表が終わりましたが、今回の決算発表の特徴として、製造業の下方修正が多いということだと思います。
・・・などなど
ところが、当然下方修正の発表があった翌日の株価は売られる傾向があるのですが、意外に「安値を切って下落トレンドに陥る銘柄が少ない」というイメージです。
月初に決算発表をしたマキタ(6586)や村田製作所(6981)あたりは、むしろ切り返しています。
もちろん、銘柄によって、決算発表が行われたときの株価位置や事前のコンセンサス、空売り等の需給、想定為替水準などがそれぞれ違いますので、一概には言えませんが、今回の下方修正後の株価が意外に底固いのは、「企業業績が最悪期を脱しつつある」という仮説もなりたつのではないかと考えています。
例えば、上記は2/7に3Qの決算発表と共に通期業績予想を下方修正する発表をした古河電気工業(5801)です。
株価は、本日2372円 -110円(-4.43%)と失望売りがでています。
ところが、同社の決算説明資料を見てみますと、世界的なスマートフォン・パソコン・データセンターの需要減は2023年2Q以降、徐々に回復するという見通しを立てています。
これはTSMCの魏CEOの「年央あたりから半導体市況は回復に入る」という見解とおおむね一致します。
現在発表されている3Q決算は昨年の10月~12月のデータです。
株価は景気の先行指標であるということを考えれば、今回の決算発表で最悪期を脱し、年央の回復を織り込んで上昇し始めるというシナリオも描けるのではないかと感じています。
そして、ここにきて賃上げを発表する企業が相次いでいます。
日本企業は横並び主義が多いので、今後も賃上げを発表する企業は増えるでしょう。
そして、欧米に比べ、比較的財務が健全な企業が多いため、賃上げにも対応できる会社は多いと思われます。
既に報道されている雨宮氏が次期日銀総裁になり、当面、黒田体制の金融緩和路線を継続するならば、欧米よりはインフレが深刻でない環境で、賃上げにより所得が増えるということになりますので、日本の市場は欧米よりパフォーマンスがよくなる可能性を秘めています。
中長期で考えるなら、下方修正で下落した製造業の株は狙い目かもしれません。