3月7日(金)
【相場概況】
【売買代金】
【米株市況】
【個別銘柄】
コーセー(4922)が逆行高になりました。
中国の藍仏安財政相は6日、記者会見で「国内外で起こり得る不確実性に対応するため、十分な政策的余地を準備している」と強調し、中国人民銀行の潘功勝総裁も同日、「政策金利などを適時に引き下げる」と、財政拡充の可能性を示唆しています。
このところ香港ハンセン指数が急速に上昇するなど中国景気の回復期待が広がっており、中国関連とされる化粧品株の一角に買いが入っているようです。
モルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤和佳子氏らはリポートで、同社が6日、アナリスト向けに開催したトップミーティングにおいて、同社が進める経費抑制改革について、その効果の半分は2025年12月期に含まれるとの説明があったと指摘しています。
原価率上昇で値上げ検討の話もあったといい、印象は「ややポジティブ」とみているようです。
一方、コスメ業界は韓国や中国の進出も著しく、1月には、中国のコスメブランド「花西子Florasis(フローラシス)」が、東京・銀座の商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」(東京・中央)に店舗を開いたことが話題になりました。
競争が激化していく環境で、同社が差別化のできる成長戦略を打ち出せるのか注目されます。
新日本科学(2395)が急反発しています。
野村証券が同社の投資判断を「ニュートラル」から「バイ」に格上げ、目標株価も1,460円から2,080円まで引き上げています。
第3四半期末の受注問合せが大幅増となっている他、サル調達を活かしたシェア拡大も見込まれることで、中期EPS成長率を5%引き上げるなど、今期以降の業績予想を上方修正している模様です。
ベンチマークより高い成長率をプレミアム付与すると、株価水準は割安であるとの判断です。
株価は反騰相場に転換することが期待されます。
カナモト(9678)が急伸し、昨年来高値を更新しています。
同社は、北海道を地盤として関東などへ事業エリアを拡大する建機レンタル大手ですが、6日引け後に、2025年10月期第1四半期の連結決算を発表しました。
売上高が前年同期比7.1%増の536億7,300万円、最終利益が同82.1%増の32億3,800万円で着地しており、大幅な増益且つ最終利益の通期計画に対する進捗率は約35%と好調なスタートとなりました。
災害復旧工事やインフラ整備に向けた動きを背景に、全国的に建設機械のレンタル需要が底堅く推移するなか、レンタル単価の適正化や稼働率向上への取り組みが奏功し、収益押し上げに寄与したようです。
これを受けた株価は大幅買い気配スタートしたものの、大きく跳ね返されて終えており、週明け以降は戻り売りを吸収できるか注目されます。
【本日のトピック】
さて、約5カ月ほど38,000円~40,000円のレンジの動きを続けてきた日経平均ですが、ついにレンジ下限を下抜ける動きになってきました。
通常、これだけ長いレンジを下抜けた場合、そう簡単に戻るのは難しいと思われます。
レンジを下抜けた原因としては、
①米株下落
②トランプ関税
③ドル円の円高
④円金利の上昇と日銀政策
が要因と考えられます。
ほかにも、ふがいない政治などもあるでしょうが、今に始まったことではないので割愛します。
①米株下落
確かに、S&P500はテクニカル的にみると正念場を迎えています。
ただ、最高値から▲6.1%の下落にすぎず、一般的には▲10%で調整局面、▲20%で弱気局面とされますので総悲観と言える状況ではありません。
VIX指数も25を超える局面もありましたが、これまでの推移をみれば、25(紫のライン)を超えることは、年何回かはあることがわかります。
35(赤ライン)を超えるようなことがなければ、通常の調整の範囲であり、パニックと言えるようなものではありません。
MMFに待機する資金も7兆㌦を突破してきました。
きっかけがあれば、米株に流れるであろうことは、容易に想像できます。
パウエル議長は「利下げを急ぐ必要はない」とタカ派のコメントを出していますが、これまでもFRBは急に方針を転換してきた経緯があります。
今週12日(水)に発表になる米CPIが、予想通り緩やかな減速という結果になれば、スタグフレーション懸念も払しょくされるでしょう。
FRBが利下げサイクルを継続する姿勢を見せてくれれば、米国株の反発へのきっかけになるものと思います。
②トランプ関税
トランプ大統領のスピードにマーケットが翻弄されています。(ネバネバ言ってる石破首相とは真逆。)
トランプ・トレードの代表である暗号資産、金融、防衛産業、小型株の全てが下落してきており、いわゆる「トランププット」は存在しないという悲観論も出てきています。
ただ、トランプ大統領の政策優先順位は、妙なパワーバランスしか頭にない石破政権と違って、非常に理にかなっています。
議会の承認を必要とせず、大統領令で実施できる分野の公約をまずは実現し、就任100日目までに相応の実績を積み上げる。
そして新年度予算の議論の中で、減税や規制緩和を実行する。
前半はリスク資産はダメージを受ける可能性もありますが、年後半には市場フレンドリーな政策で盛り返し、中間選挙の年である2026年は株高政策と支持率上昇のための政策に注力するという流れです。
そのあたりは、マーケットもわかっていますので、スピードに慣れ、FRBが利下げサイクルでフォローすれば、織り込みも早いと考えます。
③ドル円の円高
先週の6日、ドル円が147円台に突入しました。
6日に公表された春季生活闘争(春闘)2025年の要求集計は、規模計(全ての規模)で6%超えとなり、32年ぶりの高水準になりました。
日銀が追加利上げをする材料として十分すぎるくらいの結果となり、円の10年金利は節目の1.5%をあっさりとブレイクしてきています。
トヨタが150円を想定為替としているように、ドル円の円高進行は輸出産業の業績悪化を招き、日経平均のEPSを押し下げます。
ただ、このまま、円高が進行していくかというとそうでもなさそうです。
上記はIMMの円ポジションですが、円ロングポジションが過去最大級に積み上がっています。
これは、いずれ解消されるポジションであり、ここから円高が進行するには、更なる材料がないと難しく、むしろ円安方向に反転するのも近いと考えます。
④円金利の上昇と日銀政策
ドイツ連邦債は5日の取引で大きく売り込まれ、過去35年で最大の下落となりました。
10年債利回りは30bpの上昇となり、ここまで急騰したのは東西統一の頃以来です。
ドイツは米国の欧州離れによる欧州圏の防衛費増加に向けて、これまでの厳しい財政規律ルールを部分的に緩めることを示唆しており、これにより国債が売られ長期金利が急上昇したという流れです。
日本も防衛費増加の方向性は一緒であり、ドイツの余波が日本の長期金利上昇にも絡んできています。
目下のところ、一番やっかいなのは円金利の上昇です。
上記のグラフのように日本の長期金利と中国の長期金利の逆転が近くなりつつあります。
世界で最も金利が低い国債のアクティブ運用を見送ってきた投資家も戦略変更を迫られる可能性が出てきています。
このような環境の中、ブルームバーグは、早くも、日銀の3月利上げは見送られる公算が高いというリークと思われる記事を報じています。
現状維持は日本株を押し上げる要因になるかもしれませんが、日銀の利上げサイクルはまだ終わっていないため、あくまで短期的な反発材料にしかなりません。
ロイターは5月利上げの追加利上げの可能性を報じており、当面「利上げすんのかいせんのかい⁉」という状況が続くでしょう。
海外投資家は2月の最終週、日本の現物も先物も大きく売り越してきました。
2024年からの累積の海外投資家の売り越しはついに7兆円を超えてきました。
やはり、利上げサイクルの終焉及び中立金利が見えてこないと海外投資家は買いに動かないようです。
米株やドル円が落ち着けば、ある程度の反発は見込めるかもしれませんが、せいぜい38,000円~40,000円のレンジに戻るのが精一杯かもしれません。