3月21日(金)
【相場概況】
【売買代金】
【米国市況】
【個別銘柄】
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が反発し、上場来高値を更新しています。
日銀の植田和男総裁は19日の記者会見で「経済・物価の見通しが実現していけば、引き続き政策金利を引き上げる」と強調しました。
日銀による先行きの追加利上げ観測が強まり、利ざや改善の思惑から買いが入っており、三井住友フィナンシャルグループ(8316)やみずほフィナンシャルグループ(8411)も買われています。
https://www.tokyo-kiraboshifg.co.jp/
また、最終利益の見通しを245億円から前期比19%増の305億円に上方修正し、年間配当も従来計画の150円から160円に上乗せすることを発表した東京きらぼしフィナンシャルグループ(7173)や
配当性向目標を30%から40%に引き上げ、2025年3月期年間配当金を123円から165円に引き上げることを発表した南都銀行(8367)など地銀の一角も高騰しています。
第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミストは「植田総裁の会見発言は過度にタカ派にもハト派にもならないよう終始気を遣っている印象を受けたが、4月の米相互関税の日本への影響が軽微であれば、4月30日〜5月1日開催となる次回の日銀会合での利上げもありそうだ」とみているようです。
スタンレー電気(6923)が8連騰となり、昨年来高値を更新しています。
19日に公表された、大量保有報告書からアクティビストのシティインデックスイレブンスと村上世彰氏の長女である野村絢氏が共同で同社株を5.1%保有していることが明らかになりました。
同じく、先日、シティインデックスイレブンスの大量保有が明らかになったフェローテックホールディングス(6890)が早速配当方針を変更し、株主還元強化に動いたこともあり、同社も株主還元強化に動くのではとの思惑から買われているようです。
同社も財務体質は良く依然としてPBR1倍割れとなっており、株主還元強化する余地はまだあるとの見方も根強いようです。
今期末が近いこの時期にアクティビストに大量保有されると、6月の定時株主総会で何らかの株主提案をしてくる恐れもあるだけに、企業も動かざるを得ないとの見方も多い様子です。
TOWA(6315)が4日ぶりに大幅反発しています。
同社は、21日、生成AI用のHBM半導体などの先端半導体パッケージングの製造に活用が期待できる、新たなパッケージング技術を確立したと発表しました。
現在は評価検証および本技術を適用した新たな装置を開発中で、8月から販売を開始するとのことです。
同社は、先月に通期業績の下方修正を発表し、弱含みの推移を続けていたこともあり、見直し買いに繋がった面もある様子です。
なお、同社は来週27日に中期経営計画を発表する予定で、その翌日には機関投資家・アナリスト向け説明会を開催する予定です。
株価は、そこに向けてしっかりとした展開が続くのではと期待する声も聞かれます。
【本日のトピック】
あおぞら銀行(8304)
さて、3/20(木)春分の日にあおぞら銀行(8304)の会社説明会に行ってきました。
当日は大見秀人社長が登壇されました。
慶応商学部卒で物腰がやわらかい、育ちのいいエリートビジネスマンとの印象で「かしこいんやろなー!若い時はもてたんやろなー!」と勝手に想像してしまいました。
資本業務提携を結んだ大和証券グループ本社の荻野明彦社長とも旧知の仲であったことも提携の決め手になったようです。
冒頭、「昨日は東京も雪が降っていましたが、本日は一転あおぞらになりました。」と軽く笑いを取っていました。
同行の前身は日本債券信用銀行(当時は日債銀と呼んでいました)であり、主要行の中では唯一合併せず生き残ってきた銀行と言えそうです。
私も知らなかったのですが、同行の本店は上智大学のビルを間借りしており、上智大学キャンパス内にあるとのことです。
同行は昨年の2月1日、15年ぶりの赤字決算、無配転落を発表し、株価は3,200円台から2,000円台前半へ急落しました。
-
米国不動産市場の影響: あおぞら銀行は米国のオフィス向け不動産に多額の融資を行っていましたが、リモートワークの普及などでオフィス需要が減少し、不動産価格が下落しました。この結果、貸し倒れリスクが高まり、損失引当金を追加計上する必要が生じました。
-
有価証券ポートフォリオの再構築: 米国の金利上昇により、保有していた外国債券の価格が下落しました。これにより、含み損を処理するために債券を売却し、実現損を計上することになりました。
赤字の要因は米国不動産市場の悪化と外債の減損処理であり、2024年度純利益予想から一転約499億円の赤字となりました。
その後、同行は、今年の2月3日、2025年通期の純利益予想を180億円の黒字転換、配当も通期76円の復配の予想(年4回払い)を発表しています。
3Qまでの純利益の進捗率は90%になっていますから、上方修正もあるかもしれませんね。
ところが、株価は、ほとんど回復していません。
日銀の追加利上げ観測で、銀行株は脚光を浴びていますが、同行の株価は著しく出遅れていることがわかります。
この要因として、大見社長は
・昨年の巨額赤字から本当に回復するのか?
・大和証券グループとのシナジー効果は?
・現中期経営計画とは、かけ離れた状況に陥ったため、同行の中長期の成長ストーリーが描きにくい
とマーケットから懐疑的に見られていると分析しているようです。
そして、5月の本決算発表時に、しっかりとV字回復している実績を示し、新しい中期経営計画を発表することにより、成長ストーリーが不変であることを知らしめたいと考えているようです。
①米国オフィスローンの処理
米国では、不動産の家賃収入や売買収益などの収益力を担保にするノンリコースローンが一般的です。
コロナで在宅ワークが普及し、オフィスビルの家賃収入が大きく減少したことが、同行が巨額減損処理をした要因のようです。
大見社長曰く、「当面の処理は想定した引当金の範囲内で収まっており、大きな懸念はない」と処理が着実に進行していることを示しています。
②投資銀行ビジネス
同行のお家芸である投資銀行ビジネスは絶好調です。
最近はTOBや株式の非公開化による事業再編や事業承継が増加の一途になってきていますが、その時に活用されるLBOファイナンスのニーズも大きく増加しているようです。
今後も、同行の強みである投資銀行ビジネスは堅調であることが想定されます。
③大和証券グループとの業務提携におけるシナジー効果
大和証券グループは、昨年5月、519億円の第三者割当の引き受け、及び旧村上ファンドグループの投資会社が保有していた9%の株式を279億円で買い取ったことにより、同行の23.65%の株を保有する筆頭株主になりました。
大和証券は、TOBやMBO、スタートアップで資金ニーズのある顧客をあおぞら銀行に紹介し、あおぞら銀行のファイナンスによる利益の23.65%を持分法利益として受け取ります。
あおぞら銀行は、WINWINの関係で、2027年には100億円の業務純益が上がることを想定しているようです。
④GMOあおぞらネット銀行
スタートアップや中小企業を対象としたBtoBのGMOあおぞらネット銀行が、同行の収益の柱として成長しているようです。
設立当初は赤字が先行していましたが、近年黒字化し、口座数も20万口座に迫る勢いとのことです。
《総論》
同行の配当利回りは3.5%です。
5月の本決算と中期経営計画の発表でVの字回復の成長ストーリーが発表されれば、もともと高配当を実施してきた銀行だけに増配の発表もあるのではないでしょうか?
押し目は拾っておきたい銘柄です。