10月30日(木)
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本日は割愛します。
【本日のトピック】

さて、本日は、現在ブック中のPO、霞ヶ関キャピタル(3498)を考察します。

みずほ証券他、大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券、SBI証券、楽天証券 等で申し込みできます。

同社は、10月24日取引終了後、大規模な公募増資を発表。
休み明けの10月27日はストップ安の8,390円に張り付き284万株超の大商い。
いかに市場の動揺が大きかったかわかります。
①なぜ、下落?
・今回の公募は普通株で400万株、発行済み株式総数の20.2%(単純計算で2割の希薄化)
・創業者の小川氏が35万株、社長の河本氏が26万株、計61万株を市場で売却(M&A総研などは創業者売却から暴落。会社の将来性に経営陣が自信ないととられたか?)
・オーバーアロットメント69万1,500株売り出し設定。
希薄化は最大23.7%に達する可能性あり。
・増資前EPS:来期純利益165億円÷発行株式1,981万株=832.86円
・増資後EPS:同165億円÷最大2,450万株=673.40円
増資後にEPSが19.1%減少し、PERが上昇。割高感から売り込まれる
・同社は2023年12月にも当時の発行株式数に対し、最大19.3%相当の増資を実行。その時もストップ安を交えた急落になる。
マーケットは希薄化と過去の増資の既視感から売りを加速させているものと思われます。
②単なる希薄化か成長のための燃料投下か?

ただ、2023年増資後も、同社株は驚異的な上昇を演じ、ダブルバガーを達成しています。
その秘密は同社の成長モンスターと言われるビジネスモデルにあります。

同社が10月2日に発表した2025年8月期の連結業績は、あらゆる指標で過去最高を更新する圧倒的なものでした。
売上高の成長率もさることながら、特筆すべきは利益の伸びです。
営業利益以下の各利益項目が、すべて前期比で2倍以上となり、同社のビジネスモデルが成熟し、収益性が劇的に向上していることを明確に示しています。

さらに、驚くべきはこの実績が会社自身の計画をも上回るものだったという点です。
同社は2022年からスタートした第1期中期経営計画で、最終年度(当初は2026年8月期)の目標としていた純利益100億円を、1年も前倒しで達成しています。

同社は、今期の見通しもきわめて強気です。
2026年8月期予想の純利益は165億円です。
同社は1年前に発表した第2期中期経営計画において、2026年純利益目標は150億円としていましたが、わずか1年で15億円も上乗せして上方修正しています。

上記は、同社の当期純利益の推移を示したものですが、同社はまさに成長のアクセルを最大限に踏み込んでいることがわかります。
希薄化ばかりに目を奪われていれば、同社株の本質を見誤るのではないでしょうか?
③なぜ成長?

同社は単なる不動産会社とは一線を画しています。
従来の不動産デベロッパーの多くは、自社のバランスシートに多額の土地や建物を保有し、その賃料収入や売却益で収益を上げる「バイ・アンド・ホールド(保有型)」モデルが主流です。
このモデルは安定的な収益が見込める一方、多額の自己資本と借入金を必要とし、事業の拡大スピードには限界があります。
それに対し、同社は、「デベロップ・アンド・セル(開発・売却型)」をさらに進化させた、一種の「プラットフォーム」事業を展開しています。

同社は開発用地取得から竣工まで約6か月という高回転モデルを実現しており
・土地売却益
・プロジェクトマネジメント報酬
・成功報酬
・アセットマネジメント報酬
といった一つのプロジェクトから4段階にわたって収益を上げる仕組みを構築しています。
このモデルの最大の強みは、圧倒的な資本効率の高さです。
開発の大部分をファンドという他社の資本を活用して行う(オフバランス)ため、自己資本を最小限に抑えながら事業規模を拡大できます。
これにより、自己資本利益率(ROE)を極めて高い水準に保つことが可能となり、2025年8月期の実績ROEは32.5%という驚異的な数値を記録しています。

他の高成長が見られる不動産関連と比べても、ROE、営業利益率で圧倒していることがわかります。
④公募増資資金390億円の使いみち
• ホテル事業: 約159億円
fav / FAV LUX ブランドの拡大、および米国でのホテル展開に充当。
• 物流事業: 約99億円
冷凍自動倉庫の新設や、マレーシアを中心としたASEAN地域への進出に活用。
• ヘルスケア事業: 約16億円
駅近・高機能型のホスピス住宅開発に投資。
• 海外事業: 残額
ドバイでのレジデンス開発および海外事業基盤の強化に使用。
今回の増資は、同社が掲げる中期経営計画(2025〜2029年)「多角化 × 多層化 × スケール化」を実現するための“財務基盤づくり”でもあり、次なる成長のための燃料投下であることがわかります。
守りのための資金調達ではなく、明確な成長戦略に基づいた「攻めの投資」であることを示しています。
⑤株主還元

同社は株主還元にも積極的で2025年8月期240円、2025年8月期165円(株式分割前換算で330円)と、実質的な増配を予定しています。
5期連続増配で今後も増配が望めるでしょう。
⑥レーティング

ちなみに、公募増資前ですが、各証券会社のレーティングは軒並み強気です。

もっとも、直近10月23日の大和証券のレポートを見て、10月24日に買った人は発狂してるかもしれませんが・・・
ただ、このレポートの中にも「新たな資本調達をする場合は純利益計画500億円を前倒し達成する可能性が高い」とありますね。
希薄化で大幅下落した後のPOは狙い目と思います。