11月28日(金)
【相場概況】

【売買代金】

【米株市況】

【個別銘柄】

安川電機(6506)が続伸しています。
同社を巡っては、米国で29年2月期までにAI機能を搭載したロボットを現地生産すると日本経済新聞が28日に報じています。

新工場で生産するAIロボットの品目としては、まず23年に日本で発売した「モートマン・ネクスト」などが候補になるとしています。
米半導体大手エヌビディアの画像処理半導体(GPU)を標準搭載し、作業で必要な動作を自ら考えて実行できる機種であり、トンネル掘削や野菜のピッキングなど複雑な作業での活用を探っているようです。


同社株は、10月3日に2026年2月期(今期)の業績見通しの上方修正を発表したのを機に大きく上昇しましたが、1月に付けた年初来高値(4,740円)を上回ることができず、11月に入って調整が続いていました。
岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは同社株について、10月の株高は業績の上方修正に加えてロボットに人工知能(AI)を搭載する「フィジカルAI」の関連銘柄としての期待もあったと指摘しています。
そのうえで「11月に入り日米のAI関連銘柄が売られた影響で安川電の株価も調整したが、フィジカルAI銘柄としての期待が再燃しつつある」と話し、再び上昇基調に向かう可能性もあるとの見方を示しています。

三井E&S(7003)が急動意し、2007年以来約18年ぶりの高値圏に浮上しています。

ゴールドマン・サックス証券が新規買いでカバレッジを開始したことが材料視されており、目標株価は7,800円と時価を大きく上回っています。
政府の経済対策で官民連携で1兆円規模の造船投資により、同社にとって長期的な受注増が期待できると見ているようで、2026年3月期から2031年3月期に掛けて営業利益は年率20%の成長を予想しているとのことです。
このような業績拡大が期待されるものの、株価には十分に織り込まれていないと指摘しています。
既に十分上げてきた銘柄だけに、今更感が強いものの、個人投資家にも人気の高い銘柄ということもあって、材料視された様子です。
12月相場でも、しっかりとした値動きが継続するか注目されます。


同社は27日引け後に、exFATに対応したファイルシステム(データ管理ソフトウェア)「PrFILE 2 exFAT」が、任天堂(7974)のゲーム機「ニンテンドースイッチ2」に採用されたと発表しています。
「PrFILE2 exFAT」は、32ギガバイトを超える大容量メディアに最適化されており、microSDカードのデータの読み書きを高速で行うファイル操作機能を提供しています。
今回の「PrFILE2 exFAT」の「ニンテンドースイッチ2」への採用は、「ニンテンドースイッチ」「ニンテンドースイッチ・ライト」に続く続いての採用となります。
株価は、ストップ高の一本値で619万株超の買い物を残しており、14日に付けた直近高値570円、年初来高値623円を目指すことになりそうです。
【本日のトピック】
信越化学工業(4063)


https://www.shinetsu.co.jp/jp/
さて、本日は、日本の製造業における至宝ともいえる信越化学工業(4063)にフォーカスしてみたいと思います。

同社の製品は住宅やオフィス、自動車など、我々の身の回りのありとあらゆるところで使用されています。

特に、現代文明のインフラである「塩化ビニル樹脂(PVC)」と、デジタル社会の神経系である「半導体シリコンウエハー」の双方において、世界No1のシェアを握る巨人です。
同社の存在なくしては、家も自動車もAIも成り立たないと言っても過言ではありません。

同社の事業は上記の4つの事業主力で成り立っていますが、収益の大半は、
-
1.生活環境基盤材料(Infrastructure Materials):主に塩化ビニル樹脂(PVC)と苛性ソーダ。
の2つの強力なエンジンによって生み出されています。

塩化ビニル樹脂(PVC)は、上下水道管、窓枠、床材、建物のサイディング材などに使われる、世界で最も汎用的なプラスチックの一つです。

同社は、世界最大のPVCメーカーである「シンテック(Shintech)」を米国子会社として傘下に入れています。
シンテックは米国テキサス州やルイジアナ州に拠点を置きますが、同所には広大な岩塩層があることが知られています。
PVCの原料の6割は、塩(塩素)ですが、シンテックは同所で極めて良質で安価な塩を採掘しています。
そして、同じくPVCの主原料であるエチレンについては、豊富に産出されるシェールガス由来の安価なエタンから調達しています。
世界の同業他社の多くは原油から精製されるナフサからエチレンを調達しており、原油価格が高騰すると、彼らのコストは跳ね上がります。
しかしながら、ガス由来のシンテックは、原油高の影響を受けにくく、むしろ競合のコスト高によって市場価格が上昇する恩恵を享受できる仕組みになっています。
「安く作って、世界価格で売る」という構造こそが、同社の塩ビ事業の強さの源泉といえるでしょう。

もう一つの柱であるシリコンウエハー事業は、世界の半導体産業の根幹です。
スマートフォン、PC、データセンターのサーバー、そして最新のAIチップに至るまで、すべての半導体はシリコンウエハーの上に回路を描くことで作られます。
同社は、このシリコンウエハー市場において世界シェアNo.1を誇りますが、特に、直径300mmの先端ウエハーにおいては、競合のSUMCO(3436)などを引き離し、圧倒的な収益性を維持しています。
半導体メーカーにとってウエハーは、製造コスト全体に占める割合は低いものの、その品質が最終製品の歩留まり(良品率)を決定づける極めて重要な部材です。
そのため、顧客は価格よりも品質と安定供給を最優先します。
これが、同社の高い利益率を正当化させています。

そして、同社は極めて堅牢な財務体質を誇ります。
時価総額(約9兆3,000億円)の16%以上のキャッシュフローを誇り、自己資本比率は82.7%という異常な高さです。
金利が上昇し、他社が投資を抑制せざるを得ない局面で、同社は自己資金だけでM&Aを行ったり、自社株買いを実施したり、設備投資を継続したりすることが可能です。

実際、同社はこれ以上のキャッシュフローの積み上げからは決別し、株主還元、成長投資に積極的に使っていくことを宣言しています。
配当性向目標を35%→40%に引き上げ、5,000億円の大規模な自社株買いの発表。
成長投資としては、三益半導体のM&A、シンテックのルイジアナ工場の大規模増強、伊勢崎に半導体露光材料事業の新工場建設(2026年完成予定)など積極的な姿勢に転換しています。

今期業績は、中国による不動産市況低迷からのPVC投げ売り等が原因で減収減益予想ですが、中間での進捗率は5割を超えてきています。
(個人的には増配もあり得ると考えます。)

そして、12日の日本経済新聞では、「データセンターの電力制御効率を高められる素材を開発」という将来に期待の持てる材料も報じられています。
そして、中国がレアアース(希土類)の輸出規制を外交カードとして使ってくる中、改めて同社の技術が注目を浴びる局面もありそうです。

同社は、レアアース磁石の原料となる「レアアース分離・精製」から「磁石合金製造」までを一貫して行える世界でも数少ない企業であり、特に、重レアアース(ジスプロシウム等)の使用量を劇的に減らしつつ耐熱性を維持する「粒界拡散法」という技術で世界をリードしています。


同社株は、決して今日買って明日売るような銘柄ではありませんが、2~3年持つつもりで投資するには有望な銘柄と考えます。
特に顧客に何の銘柄を案内すべきかわからない証券マンは覚えておいたほうがいい銘柄と思います。