11月7日(月)
【相場概況】
東証プライムの値上がり銘柄1299/値下がり銘柄474
騰落レシオ(25日)98.21%
空売り比率 41.1%
売買代金
東証プライム 2兆9125億円
東証スタンダード 756億円
東証グロース 1331億円
【恐怖指数】
恐怖と貪欲指数:投資家心理 |ティッカー (cnn.com)
【業種】
【個別】
米株市場の上昇を受けて、東京エレクトロン(8035)やファーストリテイリング(9983)等指数寄与度の高い値がさ株に買いが入り、住友商事(8035)、丸紅(8002)、三菱商事(8058)等商社株の一角にも買いが入っています。
鉄鋼事業での原料コスト上昇分を価格転嫁により、利益改善が見込める見通しになったことから、通期事業利益を2350億円→2550億円に上方修正、中間配当を40円→50円に増額修正することを発表したJFEホールディングス(5411)が7%を超える大幅上昇になっています。
事業利益・・・税引き前利益から金融損益および個別開示項目を除いた利益
同業の日本製鉄(5401)や神戸製鋼(5406)にも買いが入り、川崎汽船(9107)など高配当の景気敏感株に見直し買いが入っています。
フォワーディング業務の取り扱いが増加していることや、物流ソリューション営業を積極的に推進することで新規顧客の獲得や既存顧客の受託範囲が拡大していることなどから、通期営業利益見通しを225億円→245億円に引き上げることを発表した三井倉庫ホールディングス(9302)が12%近い急騰になっています。
(前回の決算時の中山専務のインタビューからも手ごたえを感じていたことがうかがえますね)
通期配当も164円→181円に増配を発表していて、同社の配当利回りは5.09%になります。
高配当株が物色される傾向であることがわかります。
リスキングへの取り組みが広がり、社会人教育市場が拡大することを背景に、当面2ケタ成長が望めることを発表したインソース(6200)がストップ高まで買われ年初来高値を更新しています。
今期の配当は12.5円とし、12/31割当の1:2の株式分割を考慮すれば、実質16.3%の増配になることになります。
建設機械向け油圧フィルターで世界トップシェアのヤマシンフィルタ(6240)がストップ高まで買われています。
同社は1Qで7割強の減益であったものの、原価低減を試みたことや価格転嫁が奏功し、通期営業利益を7億円→13.8億円に上方修正し、一転増益になっています。
同社は円安がデメリットとなり、1円円安になると営業利益は約700万円の減益要因になるようです。
今期想定為替が米ドル145円 ユーロ144円であり、円安が進行するなかでも増益見通しを発表したことが好感されたようです。
反面、一部部材不足トラブルの発生やICT商材不足の影響もあり、通期営業利益予想を900億円→850億円に下方修正することを発表したリコー(7752)が8%近い急落になっています。
売上高は2兆500億円→2兆1000億円に上方修正していて、減益要因の部材不足などを織り込めば底堅い動きになることが想定されます。
スマホ向けパネルなどディスプレイ市況の悪化や6月に買収した堺ディスプレイプロダクト(SDP)の連結化の投資損失が響き、今期営業利益が650億円→250億円に70%減になることを発表したシャープ(6753)が大幅安になっています。
また、同社はアジアで白物家電を生産し輸入する体制を取っていることから、円安が減益要因になります。
信用残が日証金ベースで株不足になっていて、逆日歩もついているためか、下落一巡後は戻す動きが見られましたが、当面業績は厳しい状況が続きそうです。
今期営業利益を500億円→250億円に下方修正し、年間配当も55円→40円に減配することを発表した帝人(3401)が9%を超える急落になっています。
マテリアル部門の減益は、欧米で労働需給圧迫で生産性が低下したこと、および、欧州で天然ガス等原燃料価格が高騰したことが響いています。
また、ヘルスケア部門では、医薬品「フェブリク」の後発品への切り替えが想定以上のスピードで進んでいることが業績の押し下げ要因になっているようです。
未定としていた通期見通しが、増収減益になり、市場予想(売上473億5000万円 当期純利益73億7000万)を下回ったことが嫌気された山一電機(6941)が17%近い急反落になっています。
エネルギー価格および原材料費・輸送費の高騰に加え、新工場建築の経費増加が利益を圧迫するようです。
しかしながら、通期配当予想は77円→87円に増配していて、配当利回りは4.74%になります。
通期見通しは保守的すぎるという見方もあり、下げ止まった水準では買いのチャンスになると思います。
【テクニカル分析】
日経平均は大幅反発!
ギャップアップからスタートし、5日線(27531円)をキャッチアップしています。
引き続き、75日線(27611円)を上抜けることができるか、仮に反落しても200日線(27157円)が下値抵抗線として機能し、下値切り上げの形を維持できるかがポイントになりそうです。
【本日のトピック】
さて、先週末の米株市場は、FRB要人のコメントの中の「利上げペースの減速」に反応し大幅高になりました。
FED Watchでは、12月の利上げが0.5%の利上げになることが優勢になっています。
本来ならば、仮に利上げが急ピッチであっても、その分利下げになるタイミングが早く来るほうが、経済に与えるダメージは少なくて済むはずなのですが、マーケットは「利上げペースの減速」という「いいとこ取り」の反応になっています。
VIX指数は15日間連続で下落していて、一時24ポイント台まで下がっています。
マーケットは上下に動いているのに、VIX指数が下落しているということは、「新たにプットオプションのポジションを取る人がいない」という状態です。
つまり、「下落に対応するポジションはすでに保有している状態で、新たにヘッジをかけることもない」と市場が判断しているということです。
もちろん、コールオプションが積まれることによっても、VIX指数は上昇するはずですから、「上値を取るほどでもない」と判断しているということでしょう。
この状態が続くのであれば、S&P500のEPSは下がっているわけですから、米株市場は、「たまに戻りを入れながらも、ダラダラ下落する」状態になると思われます。
まさに、「利上げのペースは鈍化するも、利上げが長期化、終着点がより高くなる可能性」を暗示しているのかもしれません。
ただ、そういうマーケットであれば、個別株をうまく選定することが出来れば利益をあげることは可能かもしれません。
例えば、「中間選挙で共和党が有利になるなら、エネルギー株」とか、テーマ性のある業種にしぼった個別株戦略は有効と思います。
一方で、サマーズ元米財務長官はターミナルレート(金利の最終到達点)が6%以上になる可能性があると発言しています。
「10/10のCPIは、市場に大きな衝撃を与える可能性がある」と不気味な予告をするアナリストもいます。
現状、マーケットが織り込んでいるターミナルレートは5.0%前後であり、6%以上を織り込まなくてはいけないということになれば、相当なショックになるでしょう。
もし、そのようなことがおきれば、新たなプットオプションの需要が高まり、VIX指数は急騰すると思います。
2008年のVIX指数と2022年のVIX指数は酷似していると分析する人もいますので、「思わぬ急落」も想定した戦略をとるのが望ましいのかもしれません。