12月3日(水)
【相場概況】

【売買代金】

【米株市況】


【個別銘柄】

ヒーハイスト(6433)がストップ高買い気配になっています。

3日付の日経新聞朝刊では、「電子部品や半導体などの日本企業が連携し、ヒト型ロボット(ヒューマノイド)の量産に乗り出す」と報道されています。
本記事では、早稲田大学や村田製作所(6981)が立ち上げたロボット開発の連携組織「京都ヒューマノイドアソシエーション(KyoHA)」にルネサスエレクトロニクス(6723)、住友重機械工業(6302)、住友電気工業(5802)、日本航空電子工業(6807)の4社が新たに参画したと報じられています。

同社は、10月2日付リリースでKyoHAへの参画を発表しています。
KyoHAでは初期プロトタイプとして災害現場向けのパワー重視モデルと俊敏性や機能性を重視した研究向けの2種類のヒューマノイド開発に取り組んでいますが、同社は関節関係の設計・量産を担当しています。
本日の株価はストップ高の一本値で287万株超の買い物を残しており、ヒューマノイド開発への期待感から買いが継続すると思われます。

http://www.kikuchiseisakusho.co.jp/
菊池製作所(3444)がストップ高まで買われ、年初来高値を更新しています。
同社は先端企業の集積地である東京・多摩地域に本社を置き、福島県内の複数の工場をもとに製造業向けの試作・設計や金型製造を強みとしてドローンの製造やロボットの開発支援に事業を展開しています。
2日、ファナック(6954)が、米エヌビディアとフィジカルAI領域での協業を発表したことなどを背景に、株式市場では「フィジカルAI」が注目テーマとして浮上してきています。
こうした環境において、同社には、AIが自律的に制御するロボットの試作ニーズが拡大するとの思惑が浮上し、投資資金の流入を誘発する格好になりました。
本日の大幅高で株価は長期反騰トレンド入りが意識され初めています。

ジーデップ・アドバンス(3885)がストップ高まで買われています。
同社株についても、「フィジカルAI」関連として注目されたようです。

同社はAI領域のハード・ソフトの開発・販売を手掛けていますが、エヌビディアのエリートパートナー認定企業でもあり、今年8月下旬にはエヌビディア製最先端GPU搭載サーバーの提供を開始しています。

また、国内ではマクニカホールディングス(3132)と協業でAIロボットの開発支援パッケージ提供しており、これがフィジカルAI開発向けで需要を捉える公算があるとみられているようです。
株価は、この勢いがどこまで続くか注目されます。
【本日のトピック】
さて、我々は大きな歴史の転換点を目の当たりにしているのかもしれません。
12月相場の始まりとともに、世界中の投資家が注目する二つの重大な発表が相次ぎました。
一つは、産業用ロボットの世界王者 ファナック (6954) と、AI半導体の絶対王者 エヌビディア による、産業用ロボット向け「フィジカルAI」実装に向けた協業です。
そしてもう一つは、 安川電機 (6506)と ソフトバンク (9434) による、AIロボットの社会実装に向けた協業です。
これは、これまで「チャットボット」や「画像生成」といったデジタル空間に留まっていたAIが、現実の物理世界(フィジカルワールド)に書き換え始めたことを意味しており、蒸気機関、電力、インターネットに続く、第四次産業革命の真の本番、「 物理AI(Physical AI)革命」の幕開けと言えるでしょう。

エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは以前から、「次のAIの波は『フィジカルAI(エンボディドAI)』だ」と予言してきました。
フィジカルAIは以下のような特徴を持ちます。
・認識と判断
カメラやセンサーからの入力(視覚・触覚)を瞬時に解析し、状況を理解する。
・自律生成
「この部品を組み立てて」という曖昧な指示(プロンプト)から、具体的なロボットアームの軌道を自律的に生成する。
・学習と適応
シミュレーション空間(デジタルツイン)で数百万回の試行錯誤(強化学習)を行い、未知の物体や環境にも適応する。
フィジカルAIを実現する上で、世界の耳目を集めているのが日本のFA関連です。
エヌビディアはAI半導体(GPU)とソフトウェアプラットフォーム(Isaac Sim, Omniverse)において圧倒的な支配力を持っていますが、物理世界に干渉するための「 身体(ハードウェア)」は持っていません。
ロボットアーム、精密減速機、サーボモータ。これらは、ナノメートル単位の精度と、数十年にわたる過酷な稼働に耐える耐久性が求められる「匠の領域」です。
フィジカルAI実現のためには、「匠の領域」を備えた「身体(ハードウェア)」が必須になります。

世界の産業用ロボット市場において、日本企業は極めて高いプレゼンスを誇ります。
いわゆる「世界4大ロボットメーカー」のうち、2社(ファナック、 安川電機)が日本企業であり、 川崎重工業(7012) や 不二越 (6474)、 デンソー (6902)なども含めれば、日本勢の世界シェアは約半数を占めます。
そして、ソフトバンクG(9984)は世界No1のABBのロボット事業を8,000億円で買収すると表明しています。
こうした流れは、フィジカルAI実現のためのハードウェア獲得競争に号砲が鳴ったことを示しています。
フィジカルAI投資のロードマップ
フィジカルAI投資には以下のロードマップが描かれると考えられます。
フェーズ1:黎明期(2025年〜2026年)
・キーワード: 実証実験、PoC、ハイプ
・投資戦略:ニュースフローに反応しやすい「期待先行」の相場。ボラティリティが高い。
・注目:エヌビディアとの提携を発表した企業(ファナック、安川電機)や、AI関連の小型株(SIer、ビジョン技術)が短期的に物色される。
フェーズ2:普及期(2027年〜2028年)
・キーワード: 実装、生産性向上、選別
・投資戦略:実際に業績(受注・利益)に寄与し始める段階。「本物」と「見掛け倒し」が選別される。
・注目:部品メーカー(ハーモニックドライブ、ナブテスコ)の受注増が先行指標となる。工場の自動化投資(CAPEX)サイクルと連動。
フェーズ3:成熟・一般化(2029年〜2030年)
・キーワード:サービスロボット、家庭進出、社会インフラ
・投資戦略:工場以外の場所(物流、小売、介護)での普及が本格化。
・注目: プラットフォーマーとしての地位を確立した企業や、サービスロボット専業メーカー。

現在は、フェーズ1の真っ只中です。
本日も【個別銘柄】で紹介しましたが、思惑も含めて様々な銘柄が物色されています。
短期的なニュースや思惑で急騰する銘柄も出てくるでしょうが、押し目で ファナック や 安川電機 といった「王道」を拾うのが正攻法と思われます。
個別銘柄は追々紹介していきますが、半導体関連に匹敵する新たなテーマが生まれてきていることは認識したほうがよさそうです。