1月10日(火)
【相場概況】
東証プライムの値上がり銘柄955/値下がり銘柄809
騰落レシオ(25日)83.67%
空売り比率 47.1%
売買代金
東証プライム 2兆7554億円
東証スタンダード 664億円
東証グロース 1589億円
【恐怖指数】
Fear and Greed Index - Investor Sentiment | CNN
【業種】
【個別】
先週末に、米バイオジェンと共同開発したアルツハイマー新薬「レカネマブ」のFDA(米食品医薬品局)による迅速承認を得たと発表したエーザイ(4523)が上値を抑えられながらも5%近い上昇になっています。
今回の迅速承認は特例措置であり、同社は早い段階で完全承認を取り付けて公的保険の適用を目指す方針です。
同社の内藤CEOは「米国だけで数百億ドル(数兆円)相当の社会的価値がある。」と述べています。
また、最新の四季報に「エーザイ22年度承認申請予定治療薬のアルツハイマー型認知症の頭部PET検査装置用単結晶は、がん診断に続き有望」との記載があるオキサイド(6521)が急騰し、昨年来高値を更新しています。
さらに、関連株としてシスメックス(6869)も買われています。
同社はエーザイと血液を用いたアルツハイマー病診断法を共同開発していて、昨年12月には微量の血液からアルツハイマー病の兆候を診断する試薬の製造販売承認を厚生省から取得しています。
明日以降も物色が継続するのか注目です。
国内の建設用鋼材の販売価格を3か月ごとに見直すことを発表した日本製鉄(5401)が大幅高になり、昨年来高値を更新しています。
原料価格の乱高下に対応した措置で、値上げだけではなく値下げにも対応するようで、一度価格を決めると途中で値段の変更が効かない建設業界との取引慣行が変わる可能性があるようです。
同業のJFEホールディングス(5411)や神戸鋼(5406)も物色されています。
政府が非正規労働者を対象とした子育て支援を実行すると報じられたことから、カラダノート(4014)やJPホールディングス(2749)など少子化対策関連が物色されています。
特にSERIOホールディングス(6567)は3日連続のストップ高になり昨年来高値を更新しています。
日経新聞に「西村経済産業相と米エネルギー省のグランホルム長官が会談。小型モジュール炉(SMR)など次世代原発の第三国の輸出などで協力。」と報じられ、次世代原発関連と位置付けられる助川電気工業(7711)やIMV(7760)がストップ高まで買われ、高田工業所(1966)や木村化工機(6378)、神島化学工業(4026)なども高騰しています。
反面、コールセンター等に人材派遣を行うエスプール(2471)がストップ安まで売り込まれています。
共同通信が、「法律で義務付けられた障害者雇用を巡り、企業に貸農園などの働く場を提供し、障害者雇用を事実上代行するビジネスが急増している」と報じています。
違法ではないものの、大半の企業の本業と農業は無関係で「障害者の法廷雇用率を形式上満たすだけで、雇用や労働とは言えない」と問題視されていて、厚労省は対応策を打ち出す方針のようです。
同社は企業向け貸農園事業を通じて、障害者雇用支援サービスも手掛けていて、比較的高い売上比率をしめています。
このビジネスモデルの不透明感から売られていて、今後厚労省の打ち出す対策次第で大きく業績も変貌しそうです。
リンナイ(5947)が売り込まれ、ノーリツ(5943)も小幅安になっています。
ブルームバーグが、「米国消費者製品安全委員会(CPSC)が室内に有害な大気汚染物質を放出しているとしてガスコンロの禁止を検討している。」と報じています。
米国事業を手掛ける2社が連想で売られたようですが、両社とも米国ではガスコンロを手掛けていないとのことで、売り一巡後は下げ渋っています。
ただ、実際に米国でガスコンロが禁止されれば、他の国にも波及する懸念があり、そうなれば両社の事業にも悪影響が生じるとの見方もあるようです。
ストレージ製造販売のファブレス企業であるニューテック(6734)が大幅反落しています。
同社は2023年2月3Q決算において大幅増益になる決算を発表していますが、すでに、昨年12月に通期決算の上方修正を発表していて織り込み済みとみなされたほか、同時に10万株の立会外分売の発表をしています。
時価総額が30億円足らずの同社には、重荷になりそうです。
【テクニカル分析】
日経平均は続伸!
ギャップアップからスタートし、心理的節目の26000円を回復するも、うわヒゲの長い十字足を形成しています。
明日の動きで上昇するようなら、日々80円ほど下落してくる25日線(26967円)あたりまでの反発はある可能性もありますが、反落した場合は12/15以来の上向きに転じた5日線(25956円)を維持できるかがポイントになりそうです。
週末にSQを迎え、12日には12月米CPI(消費者物価指数)の発表を控えます。
基本は戻り売りと思いますが、思わぬボラタイルな展開になる可能性もありますので注意が必要です。
【本日のトピック】
良品計画(7453)
https://www.ryohin-keikaku.jp/
kabutan.jp
さて、良品計画(7453)が急落しています。
同社は1/6引け後に2023年8月1Q決算を発表しています。
これによると、トップラインの売上は、出店強化に伴う店舗数の増加により増収になるも、営業利益は50億2100万円(前年同期比54.9%減)にとどまり、90億円程度であったコンセンサスを大幅に下回り、進捗率も16.8%に留まったため、失望を呼んだと思われます。
決算短信によれば、減益の要因は、大きく進んでいた円安と原料コストの増加、人件費増加等の販管費の増加、出店コストの増加などが響いたようです。
このように「売上アップで営業利益がダウン」という形が評価されるかどうかは、ひとえに投資効果が複利となって返ってくるかにかかっていると思います。
その点をふまえると、今回の減益の要因となった円安は、米国金利が徐々に頭打ちになりつつあることと、日銀の金融緩和修正による実質的な利上げにより、極端な円安の流れが、緩やかな円高の流れに変わりつつあります。
販管費についても、おおむね計画内に収められていて、原料コストも、今後は抑えられる可能性が高いと思われます。
1Qの進捗率が低いため、通期の下方修正もあり得るとの見方もあるようですが、同社にとっての環境は好転しつつあると思われるため、トップラインの伸びは営業利益となって返ってくると思われます。
出店を増やす同社の戦略は奏功するときがくると思われます。
一方で、財務をみますと、短期借入金が昨年対比で100億円アップと大きく増加していて、決算短信の中では中国大陸の不振についても触れられています。
今回のようなコストアップが続けば財務にも悪影響がでる可能性もありますが、自己資本比率が58.3%もあり、剰余金も潤沢なため、当面の心配はなさそうです。
まとめると、今回の減益は
・円安効果による原料高
・中国大陸の不振
が大きいようです。
決算の見栄えが悪いため、しばらく調整を余儀なくされるかもしれませんが、会社の方向性は間違っておらず、中国が集団免疫を獲得する方向に動けば収益も好転するでしょう。
下げ止まりを狙いたい銘柄と思います。