1月10日(金)
【相場概況】
【売買代金】
【米株市況】
1/9(木)追悼の日(休場)
【個別銘柄】
セブン&アイ・ホールディングス(3382)が後場から急伸しました。
ブルームバーグ通信が10日午後に「セブン&アイの創業家による経営陣が参加する買収(MBO)計画を巡り、プライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社のアポロ・グローバル・マネジメントが出資を検討していることが分かった」と報じました。
最大1兆5,000億円の出資になる可能性があると報じられており、株式非公開化に向けた思惑が改めて高まり、買いが集まったようです。
報道によると、アポロのほか伊藤忠商事(8001)、セブン&アイの創業家で出資額は4兆円規模に引き上げる方向で、これにメガバンクなどからの融資を合わせて9兆円規模の資金を集めてMBOに臨む計画です。
セブン&アイを巡っては、創業家主導による株式非公開化案に加え、カナダのアリマンタシォン・クシュタール(ACT)による買収提案が出ています。
クシュタール(ACT)が提案しているTOB価格は1株18.19㌦であり、ドル円を157円とすれば、2,850円くらいになります。
創業家のMBOは9兆円規模と言われ、単純に時価総額から計算すれば3,450円くらいになります。
(個人的には、落としどころとして創業家MBOで3,000円くらいではないかと思いますが・・)
創業家のMBOにせよ、クシュタール(ACT)のTOBにせよ、いずれの提案も資金調達の面で課題があるとして実現性に不透明感があるとの指摘が出ていますが、共同通信によると伊藤忠商事(8001)も創業家MBOに1兆円規模の出資を検討していることが伝わっています。
同社株については、信用買い残も貸株残も高水準で、売り買い共に思惑で乱高下しています。
同社の丸山好道最高財務責任者(CFO)は意思決定の時間軸について5月の定時株主総会が一つの目安になると述べています。
(ちなみにJPモルガンは12月に空売りから完全撤退しています。)
今後も、5月までは時間があるため、相場の流れ次第で資金拘束を嫌う短期筋等が売ってくる可能性もありますが、創業家MBOの資金繰りが進展していることが報じられたことから、徐々に下値を切り上げる展開と考えます。
久光製薬(4530)が急反発しています。
同社は、9日、2025年2月期(今期)の連結純利益が前期比47%増の205億円になりそうだと発表しました。
13%増の158億円としていた従来予想から47億円上方修正し、好感する買いを集めたようです。
国内市場で『ジクトルテープ』、海外市場で『サロンパス』や女性ホルモン製剤『コンビパッチ』『ビベルドット』などが堅調に推移する見通しであることに加えて、円安の影響を考慮しています。
また、継続的な原価低減活動や返品削減の取り組みの効果、売り上げ構成の変化などによる売上原価率の改善なども寄与するとのことです。
極東証券経済研究所の高橋豊主席アナリストは、久光薬の業績は24年3〜5月期から堅調だったため通期上方修正に驚きは少ないとしつつも、「医療用で主力湿布薬の『モーラステープ』が落ち込むなか、『ジクトルテープ』など比較的新しい製品が成長してきていることは前向きに評価できる」とみているようです。
タウンズ(197A)が続急伸し、上場来高値を更新しています。
国内でインフルエンザの流行が拡大しており、厚生労働省によると昨年12月23日~29日の1週間の患者数は、1医療機関当たり64.39人となり、1999年の現行の統計開始以降で過去最多になりました。
体外診断用医薬品を手掛ける同社は、中国で感染が広がっているhMPV(ヒトメタニューモウイルス)に絡み思惑的な物色が向かっていましたが、インフルエンザ関連の側面からも買いを集めた様子です。
ミズホメディー(4595)、川本産業(3604)なども同様に反応する傾向にあり、次回の株価動意の時まで覚えておきたい処です。
https://basefood.co.jp/
ベースフード(2936)が反発しています。
同社は、9日引け後に、全粒粉ベースの完全栄養の即席麺「BASE YAKISOBA(ベースヤキソバ)」シリーズを新たにラインアップに加え、『BASE YAKISOBA ソース焼きそば』と『BASE YAKISOBA 旨辛まぜそば』を16日から発売すると発表しました。
昨年発売した「BASE PASTA 即席麺シリーズ」の後継商品にあたるとのことです。
本日は今後の業績寄与を期待した買いにより大幅高となりましたが、400円を明確に上放れると新しいステージに入っていきそうです。
【本日のトピック】
さて、10日発表になった米12月雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が、市場予想の16万人程度を大幅に上回る25.6万人となりました。
そして、失業率は市場予想の4.2%をやや下回る4.1%と、こちらも改善しています。
ここ数年のNFPは翌月に大きく修正されるなどブレが大きいので、単月の指標結果で一喜一憂するものでもないですが、失業率が低下する強さを見せたことはサプライズです。
米雇用統計はの非農業部門雇用者数、平均時給、平均労働時間は「事業所調査」から算出されますが、失業率、労働参加率といった数字は「家計調査」から導き出されます。
民主党政権下ではこの事業所調査のブレが大きく家計調査から導き出される失業率により注目が集まる傾向があります。
そして、この強い数字を受けて米金利は急上昇しました。
長期金利はトランプ2.0への警戒からこのところ上昇が続いていましたが、短期金利はそれほどでもありませんでした。
しかし、今回の雇用統計を受けて短期金利も急騰しています。
短期金利(2年金利)は米政策金利の影響を強く反映しており、市場では1月の追加利下げの可能性がほぼ消滅し、3月の利下げの織り込みも4割を切っています。
年内の利下げ回数は1回だけとなり、それも100%織り込まれているのは9月から10月頃になっています。
ここまで利下げへの期待が剥落したのは、FRBが利下げを開始してから初めてのことです。
米国の主要株価インデックスは軒並み下落しました。
S&P500はヘッド&ショルダーの可能性があるとしてきましたが、黄色の点線であるネックラインを割れてきており、そこそこ大きめの下落を覚悟しなくてはいけない局面です。
来週は15日22:30に発表になる12月米消費者物価指数CPIが警戒されます。
1月分まで見通すとインフレは緩やかに低下する期待が大きいのですが、今回のCPIは横ばい、もしくは伸び率加速になる可能性があり、金融マーケットの不安感をより強める可能性があります。
いずれにしても、現状、マーケットはめいっぱいタカ派のスタンスを織り込んでいます。
1年前は年内に最大で7回程度の利下げが織り込まれ、その期待が剥落することで株価が下落しましたが、今年は真逆です。
すなわち、インフレの鈍化のニュースが出てくると、それはFRBの利下げの織り込みが回復することで、『Badnews is Goodnews』になる下地が出来ているということは認識しておくべきと思います。
一方、大和証券の木野内栄治氏は、20日のトランプ就任をきっかけに相場は切り返す可能性を指摘しています。
同氏は16日のTSMCの決算において設備投資の増額修正が発表される可能性を指摘しています。
これまで、半導体のシリコンサイクルはTSMCが設備投資増額を発表すれば上昇に転じ、減額修正を発表すれば下落する傾向があります。
今回は増額修正になる可能性が高く、半導体関連の回復につながるだろうとのことです。
また、同氏は2018年の貿易戦争のとき、短期的には関税が実施されればアク抜けになり、相場が切り返しやすい傾向にあったことも指摘しています。
トランプ次期大統領は20日の就任と同時に関税政策を実行に移すと宣言しており、実際に発表になればアク抜けということになるのかもしれません。
昨年は累計で約4兆円の日本株の売り越しとなった海外投資家も12月の4週目は大きく日本株を買い戻していたことが知られています。
今週市場が大きく調整するようなら、そこは絶好の買い場になるのかもしれません。