2月7日(火)
【相場概況】
東証プライムの値上がり銘柄901/値下がり銘柄827
騰落レシオ(25日)118.0%
空売り比率 41.7%
売買代金
東証プライム 2兆6424億円
東証スタンダード 787億円
東証グロース 1473億円
【恐怖指数】
Fear and Greed Index - Investor Sentiment | CNN
【業種】
【個別】
ヤマトホールディングス(9064)が急伸しています。
同社は、2023年3月期3Q決算を発表し、通期営業利益を従来予想の750億円→610億円に下方修正することを発表しています。
しかしながら、宅配便の基本運賃を4/3から平均10%値上げする方針を発表し、「人手不足を解消するための賃上げの原資」として、収益向上期待が望めるとして買いが集まったようです。
日経新聞は、同様に「カップヌードル」など主力商品の値上げを発表した日清食品HD(2897)が年初来高値を更新する中、主力PB商品の価格を据え置いたワークマン(7564)株が低迷する状況を例に出し、「値上げ」をして客離れがおこらない企業は収益の向上が見込める。値上げに消費者がついてこれるかが株高のカギを握るとしています。
1月米雇用統計を受けて、米利上げ停止期待が後退し、長期金利が上昇したことを背景に、三菱UFJ(8306)、三井住友(8316)、みずほFG(8411)といったメガバンク株が軒並み上昇しています。
米金利上昇による利ザヤ期待で、ここもと調整気味であった銀行株に見直し買いが入ったようです。
日本ケミコン(6997)が急反発しています。
同社は2023年3月期3Q決算を発表し、大幅増益になることを発表し、通期営業利益予想も前回予想93億円→115億円になることを発表しています。
さえない決算が多い電子部品セクターで、高付加価値品の拡販や販売価格の是正、構造改革効果による生産性の向上が奏功し、売上、営業利益ともにコンセンサスを上回る成果を出してきています。
同決算を受けて、目標株価を引き上げる会社もふえてきています。
同社の決算を受けて、ニチコン(6996)も連想で大幅高になっています。
ニチコンは2/8に3Q決算発表を予定していて注目されるところです。
回転寿司のスシローを運営するFOOD&LIFE COMPANIES(3563)が急伸しています。
同社は2023年9月の1Q決算を発表していますが、大幅減益となっています。
しかしながら、月次等から決算がよくないことは想定されていて、それを見越した空売りを呼び込んでいる状態だったようです。
本日は悪材料出尽くしと見た買いに、空売りの買戻しも多く入ったものと思われます。
ただ、2Q以降もSNSで拡散された迷惑行為の悪影響もあり、買いは続かないと見る向きもあります。
一方で、海外事業が好調で利益率も高いため、見直し余地は大きいとの見方もあります。
この株は、悪い月次のたびに、空売りを焼いてきた動きが見られ、高ボラティリティになりやすい株なので、注意が必要です。
反面、JFE HD(5411)が急落しています。
同社は2023年3月期の事業利益予想において、従来見通しの2550億円→2350億円に下方修正し、年間配当も前期比60円減配の80円になることを発表しています。
鉄鋼事業の減産やエンジニアリング事業の欧州個別工事の損失が響いたようですが、中国景気回復で好調に推移していた鉄鋼相場に思いっきり水を差す結果になっています。
日本製鉄(5401)や神戸製鋼(5406)も連れ安していますが、両社ともに決算発表は2/9であり、注目されるところです。
建設機械向け油圧フィルターで世界トップシェアを誇るヤマシンフィルタ(6240)がストップ安まで売られています。
同社は2023年3月の業績見通しを下方修正しています。
上半期決算で上方修正を発表し、大幅高していただけに、反動安も大きい様子です。
同社は、これまでも、3Qもしくは本決算発表時に、たびたび下方修正を発表しています。
2Qで調子に乗って大風呂敷を拡げる企業体質のようですので、同社の決算には注意が必要です。
(そういえば、昔ヤマシンっていうあだ名の上司がいたなあ・・詰めは全然フィルターかかってなかったけど⁉・・おもろいおっさんやったな・・・!)
【テクニカル分析】
日経平均は小反落!
「上放れの並び黒」という、珍しい足形になっていて、トレンドの末期が近づいているものの、まだ買いシグナル継続という判断の難しい足形です。
引け後に、日経平均寄与度の高いソフトバンクG(9984)が3Q累計最終損益が9125億1300万円の赤字になることを発表しています。
PTSでは2.78%ほど下落していて、明日そのままであれば、日経平均を約40円ほど引き下げることになりそうです。
日経平均の寄与度が最も高いファーストリテイリング(9983)も、上ヒゲ陰線を形成していて上値が重い印象です。
反面、ブルームバーグは東芝(6502)の非上場化について、銀行団が融資証明を週内にも提供する方針との記事がでています。
もし、TOBが決まれば、約2兆円以上の投資資金ができることになります。
マーケットを押し上げる要因になるかもしれません。
後述のように、米国市場も正念場を迎えます。
少し様子を見ながら、押し目買いに徹したほうがよさそうです。
【本日のトピック】
さて、ロイターの報道によると、イエレン米財務長官は、先日の強い雇用統計を受けて、「労働市場が力強さを維持する中、インフレは大幅に低下し、米経済は景気後退(リセッション)を回避できる」との考えを示したと報じられています。
バイデン大統領も、同様に強い雇用を歓迎するコメントを出していて、政権サイドは「インフレは低下する中、米国経済は強い」という見方をしているようです。
それに対して、アトランタ連銀のボスティック総裁は、強い雇用統計を受けて「金融当局が政策金利のピークを従来予測よりも高めに引き上げる必要が生じる可能性が強まった」との認識を示しています。
つまり、金融サイドは「インフレは、なお継続している、ターミナルレートの引き上げもあり得る」という見方を示しています。
現状、米国では政権サイドと金融サイドが真逆な主張をしているという状況です。
しかしながら、FED Watchをみると、ターミナルレートは5.0%~5.25%が優勢で、FOMCでパウエル議長がコメントした、あと2回の利上げを、ほぼ織り込んでいます。
S&P500も上昇トレンドが転換したとは言えない状況です。
テスラに至っては、昨年70%も下落したものの、今年は1か月で50%も上昇しています。
心配されたAAA(アップル、アマゾン、アルファベット)の決算は、予想を下回ったうえに、それなりに投資家の不安を誘う内容も散見されましたが、マーケットは動揺せず、悪材料を許容している状況です。
ここ1か月の米株市況は、まさにお祭りさわぎで、上記のストラジストのように警戒を唱える人もいます。
実際、企業業績が上向かない中、株価だけが上昇してきているのですから、バリュエーションは割高になってきているということは否定できません。
現状マーケットが想定していない悪材料が勃発すれば、株価が大きく下落することも十分あり得ると思います。
そして、マーケットが想定していないリスクシナリオとしては「インフレ再燃」が最もあり得るシナリオでしょう。
そういう意味では、政権サイドと金融サイドの中間ぐらいに位置するパウエル議長の今晩の講演は注目されます。
私個人的には、パウエル議長は、今回の雇用統計の内容を概ね把握してFOMCのコメントをしたと思いますので、マーケットに悪影響はないと思うのですが・・・
マーケットが極端に変動しないのであれば、いましばらく米株の活況は続くと思います。