2月10日(金)
【相場概況】
東証プライムの値上がり銘柄808/値下がり銘柄946
騰落レシオ(25日) 130.03%
空売り比率 46.4%
売買代金
東証プライム 3兆4509億円
東証スタンダード 964億円
東証グロース 1529億円
【恐怖指数】
Fear and Greed Index - Investor Sentiment | CNN
【業種】
【個別】
日本製鉄(5401)が大幅高になり年初来高値を更新、神戸製鋼(5406)はストップ高まで買われています。
日本製鉄(5401)は2023年3月期 3Q決算を発表し、3Q累計事業利益は7618億円で前年同期比2.4%増益、通期計画8700億円、前期比7.3%減は据え置くも、在庫評価損益などを除いた実力ベースでの事業利益は6300億円→6900億円に増額修正しています。
未定としていた年間配当も180円として、20円増配する方針を発表し、配当利回りも6.47%と高利回りの設定になることが好感されています。
また、神戸製鋼(5406)は2023年3月期の経常損益を従来予想の700億円→920億円へと31.4%上方修正し、未定としていた年間配当は40円になることを発表しています。
原料価格の下落によるメタルスプレッドの改善の他、建設機械におけるエンジン認証問題に関する補償金収入などが寄与したようです。
先の決算で下方修正の発表をしたJFE HD(5411)と明暗を分けた結果になりましたが、年初から見られた鉄鋼株相場が継続するのか注目です。
大日本印刷(7912)が急騰しています。
2023年3月期3Q決算は経常利益が209億円に減り、前年同期比7%減になることを発表しましたが、同社は同時に「DNPグループの経営の基本方針」を公表しています。
「持続的な事業価値・株主価値の創出を行い、ROE10%以上を目標に掲げ、PBR1.0倍超の早期実現を目指します。」としていますが、これは先月アクティビストのエリオットマネジメントが同社株を5%弱取得したことから、エリオットを強く意識したものとの見方が多いようです。
大規模な自社株買いを期待する思惑が先行しているようですが、同様の連想で同業の凸版印刷(7911)も大幅高になっています。
同社は3/9にアナリスト向け「新中期経営計画骨子説明会」を開催するようですが、株価も思惑先行で上昇が継続する可能性もあるかもしれません。
ダイコク電機(6430)がストップ高まで買われています。
同社は、2023年3月通期営業利益を従来予想の18億5000万円→30億円に上方修正しています。
同社は昨年11月と12月にも通期業績予想を上方修正しており、今期3回目の上方修正になります。
また、設立50周年の記念配当を10円実施することも発表して年間配当は60円になることも好感されています。
昨年11月から市場投入されたスマートパチスロが好調に推移し、スマート遊技機に必要なカードユニットの販売台数が計画を大幅に上回ったようです。
同様にゲームカード・ジョイコホールディングス(6249)も、通期営業利益予想を7億円→40億円になる強烈な上方修正を発表しストップ高になっています。
本日はスマスロ関連銘柄は、ほぼ全面高になり、SANKYO(6417)やマミヤOP(7991)、マースグループホールディングス(6419)、JALCO HD(6625)などの高騰が目立っています。
スマスロ特需は来期まで続くかは未知数ですが、まだまだ導入していない店舗も多いとのことで特需継続が期待されているようです。
ストリームメディアコーポレーション(4772)がストップ高まで買われています。
同社はこのブログでも昨年6/24に紹介直後の6/27に283円まで急騰(171円で紹介)した後、8/10に赤字に下方修正、さらには、10/14に1432000株の立会外分売(143円)を実施し、そこからは低迷していた材料株です。
急騰の要因としては、K-POPグループ「BTS」や「SEVENTEEN」などを抱える韓国の芸能事務所HYBEが、同社親会社のSM・エンターテインメントを買収すると発表したことで思惑を呼んだようです。
上記日経新聞によると、HYBE社に買収を持ち込んだSM・エンターテインメントの創業者である李秀満氏と現SM・エンターテインメント経営陣は対立状態にあり、現経営陣は今回の買収を敵対的買収とみなし「反対声明」を発表したようです。
韓国のHYBE株も提携発表直後は8.6%上昇したものの、反対声明が出された後1.5%安になるなど乱高下したようです。
ストリームメディアコーポレーションも上記IRを発表し、朝からストップ高で張り付いていた株価も、一時170円台まで急落するなど乱高下した後、最終的にはストップ高で終了しています。
ストリームメディアコーポレーションの株主の立場から言えば、今回のTOBが成立しようが、現経営陣が進めるカカオとの提携が進むことになろうが、同社の業績向上につながり得るという思惑は発生するでしょう。
そして、同社は上場維持基準の流通株式比率25%以上を、立会外分売を実施した後も満たしておらず、新たなファイナンスを実施するうえでも、株価上昇は必須案件(という思惑!)であったはずです。
2/14は決算発表ですので、早めに逃げたい投資家も交えて、さまざまな思惑が飛び交い、週明けのマーケットは乱高下すると思います。
こういう「よくわからん」低位材料株は短期売買筋も大好物でしょう。
腕に自信がある人限定ですが、ロスカットを定めて割り切って参戦するのはおもしろいかもしれません。
反面、三菱地所(8802)が売り込まれ、年初来安値を更新しています。
同社は2023年3月期の通期売上にあたる連結営業収益の下方修正を発表しています。
海外事業で売却物件の引き渡しに遅れが生じているほか、投資マネジメント事業では不動産価格の下落に伴いインセンティブフィーが減少しているようです。(米インフレ鈍化シナリオと合致します。)
同社決算を受けて、三井不動産(8801)や住友不動産(8830)など大手不動産株も連れ安しています。
【テクニカル分析】
日経平均は反発!
ギャップアップからスタートし、一時SQ値(27779.75円)を上回るも、次第に値を消し陰線で終わっています。
ナイトセッションの日経先物は27590円 -60円で戻ってきています。
5日線(27648円)を挟んだ動きで推移していますが、来週もその動きが継続するのかが注目されます。
【本日のトピック】
さて、週末に日経新聞が「岸田政権が、次期総裁に植田和男元日銀審議員を打診」との速報を報じました。
市場は完全に雨宮日銀副総裁が次期総裁に就任すると織り込んでいましたし、植田氏を事前に候補とあげるマスコミは、私の知る限り1社もなかったので、かなりのサプライズになりました。
報道直後に為替は131円半ば→129円台に一気に円高になり、日経先物も一時200円近く下落しました。
その後、少なくとも「引き締め派」ではないという認識が広がり、マーケットはとりあえず落ち着きを取り戻したという状況です。
植田新総裁の政策運営については、これからの発言などに注目していきたいところですが「YCC政策およびマイナス金利政策はゆっくりと修正されていく」というコンセンサスから乖離しないものであれば、それほど混乱は起きないと思われます。
雨宮氏の辞退の理由が「岸田政権から納得のできない要望があったから」ではないことを願いたいですが・・・
来週は、なんといっても2/14発表の米CPIでしょう。
市場は雇用統計とISM景況感指数により、市場のインフレピークアウトの確信が少し揺らいでいる状態です。
普通にインフレピークを感じさせる数値であれば、米長期金利はレンジ内で安定していくと思われます。
そして、株式マーケットは一段の上昇モードに突入することもあるかもしれません。
しかしながら、このCPIが昨年からの逆CPIショック後のインフレピークアウトシナリオに疑念が出る結果になれば、決算発表も峠を越えただけに、「インフレ高止まり」のみがクローズアップされ、市場に動揺が走るかもしれません。
実際、やや気になる指標もでてきています。
上記は、今週かなり話題になったデータの「マンハイム中古車価格」ですが、12月に前月比+0.8%に上昇した後、1月には+2.5%に加速しています。
「ミシガン大学1年先インフレ期待」もガソリン価格上昇に連動して4.2%に上昇してきています。
最悪なのは、これまで市場は常にFRBのターミナルレートを下回る水準を想定してうごいていたのが、CPI上昇を受けて、「市場がFRBよりタカ派になることで、FRBがビハインドする形に転換する」ことです。
そうなれば、昨年の「金利上昇+株安」悪夢が再来することになりかねません。
日銀総裁問題が落ち着きを取り戻す中、日本株の相対的な優位性は保たれると思いますが、「2/14前には、いったんポジションを軽くしておくのも一考」かと思います。