3月29日(金)
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小糸製作所(7276)が場中値つかずのストップ高比例配分になっています。
同社は28日引け後に第1次中期経営計画の策定を発表しました。
株主還元方針としては、2024-28年度累計で2,000億円以上の株主還元を目指すとしており、配当については連結配当性向40%以上を目安に実施するとしています。
この方針に基づき、発行済み株式数の11.37%にあたる3,500万株、500億円を上限とする自社株買いの実施を発表しました。
取得期間は4月1日から25年3月24日までとしており、取得規模の大きさもあり、株主還元の強化を好感した買いを集めました。
また、同社は、2027年3月期までの中期経営計画も発表し、27年3月期に営業利益率で8%、ROIC、ROEを9%以上を目標とするとしています。
モルガン・スタンレーMUFG証券の垣内真司株式アナリストは28日付リポートで、中計の業績目標などはインライン(想定通り)としつつも「株主還元方針の明確化はポジティブ」との見方を示しています。
フジ・メディア・ホールディングス(4676)が急反発しています。
同社は、28日、2024年3月期(今期)の連結純利益が前期比23%減の360億円になるとの見通しを発表しました。
従来予想から100億円引き上げています。
政策保有株である上場有価証券4銘柄を売却し、約160億円を今期の特別利益として計上する方針です。
また、同社は、同時に発行済み株式総数の4.6%(自己株式を除く)にあたる1,000万株、金額150億円を上限とした自社株買いを24年度中に実施することを発表しました。
野村証券の原畑亮平リサーチアナリストは28日付リポートで、「(自社株買いは)単発の機動的な発表ではあるが、1株利益(EPS)の底上げになるためややポジティブな印象」と評価し、目標株価を1800円から2010円に引き上げています。
https://www.kohokukogyo.co.jp/
湖北工業(6524)が続急伸しています。
同社は、28日の取引終了後、超高速光スイッチなどの開発を手掛けるエピフォトニクス(神奈川県大和市)の全株式を4月1日付で取得し子会社化すると発表しました。
エピフォトニクスは、次世代光情報通信技術として注目されている「PLZT薄膜形成技術」を手掛けており、米国シリコンバレーに開発拠点を持っています。
同社を傘下に収めることで、湖北工業グループが保有する光部品・デバイスの材料技術(結晶育成技術)や精密組み立て技術とのシナジーによる両社での開発を加速させ、次世代情報通信インフラに向けた製品ラインアップの強化と販売ネットワークの拡充を進めることで、大容量化が進む光情報通信関連市場でのシェア拡大を目指すとしています。
同社は、取得価格は非開示とし、24年12月期業績に重要な影響を及ぼすことが明らかになった場合には速やかに開示するとしています。
さくらケーシーエス(4761)が連日の急騰になり、ストップ高まで買われています。
同社は、三井住友銀行を筆頭株主に置く情報サービス会社で、システム構築のほか、耐震・耐火及び高度なセキュリティーを強みとするデータセンター事業を展開しています。
生成AI市場が世界的に拡大するなか、日本でもデータセンター需要が中期的に増勢の一途となることが予想され、同社の活躍余地が高まるとの見方があるようです。
また、足もとの業績も当初の会社側計画を上回って推移しており、2024年3月期業績は営業利益段階で期初見通しの8億2,000万円から、10億2,000万円(前期比3%増)に増額修正し、2ケタ減益見通しから一転増益見通しに変わっています。
本日は、同社株のほかにも、データセンター関連の銘柄で高騰する銘柄が目立ちます。
ピクセルカンパニーズ(2743)も、大幅続伸になり、約5年ぶりの高値水準になっています。
同社は28日、株主総会を開催しており、そこで同社社長が、今年からGPU特化型のコンパクトなデータセンターを複数開発し、経産省や地方自治体と協力しながらGPUの計算力を増やしていく表明をしたとのことです。
先ずは福島県のデータセンターの完工を目指すとしています。
データセンター事業については既に公表しているため、目新しさは無いものの、データセンター事業へかなりの自信を示した模様です。
データセンターを手掛けているさくらインターネット(3778)が今年大相場を作ったことから、第二のさくらインターネットとの連想も働き易い様子です。
ただ、同社の場合は、キャッシュフローが潤沢とは言えないため、ファイナンスを実施する可能性もあるため注意が必要です。
【テクニカル分析】
日経平均は反発!
陽線を形成するも、上影をつくり、2日連続で5日線(40,422.48円)を下回っています。
上記のチャートは日経平均と200日線(34,056.78円)の乖離率をプロットしたものです。
乖離率が20%以上を超えてくると、1,000円以上の下落がおこりやすいことが知られており、今回も3/22に20.84%をつけてから調整気味になっていることがわかります。
ナイトセッションの日経平均先物は前日の清算値と比べ160円高い40,550円で終わっています。
寄り付きこそ、しっかりの動きが見られるかもしれませんが、4/1(月)の銘柄入れ替えで、約5,500億円の売り要因になるともいわれています。(すでに織り込んでいる可能性もあります。)
今回の入れ替えで、半導体セクターが増えることになりますので、ボラティリティがさらに高くなることになり注意が必要です。
【本日のトピック】
さて、3/28(木)に井関農機(6310)の株主総会に出席してきました。
同社は昨年11/14の3Q決算発表時に下方修正を発表しました。
それでも、同社は同時に構造改革「プロジェクトZ」を立ち上げ、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を2月決算時に発表するとしていました。
私も、同社が2025年に創立100周年を迎えることから、増配、自社株買い等が発表になると考え、上記ブログを書いています。
株価も2月に向けて、期待感から上昇していました。
ところが同社は、2/14に決算の再下方修正を発表し、「プロジェクトZ」の内容も上記の内容で増配や自社株買い等の発表はありませんでした。
株価は、この日をきっかけに失望売りを呼び、一時1,000円を割り込むまで売り込まれています。
3/28(木)の株主総会では、憤りを感じた株主からの多くの質問がでました。
以下に私がした質問と他の株主の印象に残った質問、及び議長の冨安社長の返答、印象を書いてみます。
【私の質問】
①「2027年に営業利益率5%以上 ROE8%以上 DOE2%以上との目標を出していますが、PBR1倍以上にするにはDOE2%は低すぎると思います。
ROE8%でDOE2%なら配当性向は25%になると思います。
パンデミックで喘いでいた2022年のTOPIX製造業平均ですらDOEは2.99% 配当性向は33.15%です。
仮に達成しても、PBR1倍割れは解消できないのではないでしょうか?
そして、2027年では遅すぎると思います。
三菱UFJアセットマネジメントは3年連続でROEが8%を切ってPBR1倍割れの会社の代表者再任には反対すると宣言しています。
世間の求めているスピードに比べ、経営改革が遅すぎませんか?
せめて、DOE2%程度なら、配当は60円くらいで、配当総額も13億円程度なので、御社が100周年を迎える2025年には実施すべきでないでしょうか?
もし、金がないというなら、50億円くらい保有している政策保有株を売却し、配当原資と成長分野のICT農業等の投資にあてるべきではないでしょうか?」
社長:「DOE2%が低すぎるという指摘は承知しているが、まずは第一ステップとしての目標にした。スピードが遅いという指摘も真摯に受け止める。愛媛の温暖な地域で社員もゆっくりとした風土があるかもしれない。(場内苦笑)
政策保有株については、部品供給に無理を言っている面もあり良好な関係を保つため、ある程度必要。今後も取締役会議で必要性が薄れたものについては売却も検討する。」
②「IRの頻度が少なすぎることと、やり方を工夫して新しい株主を開拓する必要があるのではないでしょうか?
御社の株主構成をみると上位株主はほとんど銀行と損保がしめています。
特に第9位の損害保険ジャパンが2031年までに政策保有株をゼロにすると宣言したように、今後は銀行も政策保有株を減らしてくることが考えられます。
御社としましては、新しい海外投資家とか個人株主等を開拓するために、今のうちに株式の価値を高めて御社の魅力を積極的にアピールする必要があると思います。
例えば、技術者派遣のアルトナー(2163)は流通時価総額100億円を克服するために、個人投資家向けの会社説明会を対面またはオンラインで年3回~4回 機関投資家向けは年2回実施したり、外国人投資家を意識した英文開示を早くから実行し、流通時価総額を41億円から149億円まで引き上げています。
御社は2022年に事業説明会がオンラインで1回 昨年はなしという状況ですが、これでは新しい株主をつくるのは難しいと思います。
それから、IRのやり方にも工夫が必要と思います。
例えば、我々多くの投資家が投資情報を得るためにX等のSNSを利用していますが、御社はXに公式アカウントすらないと思います。
クボタやヤンマーや、やまびこはあります。
Xで井関農機を検索すると、御社のトラクターを使っている農家の方の投稿が多く出てきます。
投資情報だけではなく、御社がやってる施設見学会や新商品発表会もSNSで情報発信するとか、お客様から頂いた、ありがとうの言葉を掲載するとか、御社のブランドを高めるように使うことができれば、株価にもいい影響が出ると思います。
冨安社長やプロジェクトZ責任者の小田切専務が会社説明会やSNS使って井関再生の強い思いや株価を意識した経営、創業時の理念だけではなく現状に即してブラッシュアップされた経営理念、成長戦略で述べられている先端技術、お客様の声などをアピールすれば投資家は注目すると思いますがいかがでしょうか?」
社長:「株主構成は海外投資家を意識しなくてはならない。個人投資家は少しづつ増えている。
事業説明会は出来たり出来なかったりがあったが、私はアナリストミーティングを年4回こなしている。
決して出不精ではない。
SNSはやっていないが、YouTubeでは公式アカウントがある。
また、営農ソリューション・ポータルサイトの『エーモニー』に多くの弊社の活動が掲載されている。
お時間があれば、御覧いただきたい。」
③「今回のプロジェクトZを、経営陣が不退転の決意で取り組むというのならば、株価は今が大底のはずです。
経営陣の持ち株が全員11,000株以下というのは寂しすぎます。
先日もリスキリング関連インソース(6200)の社長が「当社の事業成長への強いコミットメントを 行うためと、当社の成長を望むステークホルダーの皆様と気持ちを共有すべき」として社長個人として1億の自社株買いを行いました。
時価総額が700億円を超える会社ですから、1億ぐらいの買いは、大した影響はないはずですが、同社の株は、その日を境に2割ほど上昇しました。
おそらく、投資家が経営者の決意を高く評価したのだと思います。
経営陣の強い決意をアピールするための経営陣の自社株買いや、社員のモチベーションアップを狙うためにストックオプションや譲渡制限付きの新株を付与することなどを実施し、IRでアピールすれば、それだけでも株価上昇要因になると思いますがいかがでしょうか?」
社長:経営陣の株保有は成果報酬としてやっている。いろいろ制限があって難しい。
社員も持株会をやっている。
【他の株主の印象に残った質問】
・東証プライムの維持基準を答えてみてください。
社長: ネットを見ながら返答
・計画と実績が伴っていない。「プロジェクトZ」で立派な数字を出しても達成できるのか?
社長:社内一丸となって取り組む。
・100周年という節目には増配するのが当たり前ではないか?
社長:記念配の規定はないが、その時の財務状況を見ながら検討する。
・御社は特許をたくさん保有しているが、宇宙ビジネスに活かせないのか?
担当役員:弊社は特許出願数は常に上位ランク入っている。
年間、1万件もの事例を精査し、有効なものを出願している。
社長:いきなり宇宙ビジネスとはいかないが、農機の特許から他分野に応用されることもある。
今後も開発に注力していく。
・同業者と合併してはどうか?
社長:日本の農業の規模は縮小してきている。合併をしてもシナジー効果は見込めるかわからない。
・農薬メーカーと協業したらどうか?
社長:アグロカネショウ(4955)のような会社のことをおっしゃっていると思うが、シナジー効果が見込めるのであれば検討していきたい。
・井関邦三郎さん(創業者)が草葉の陰で怒ってると思う。
社長:引き締めてやっていく。創業時の「農家を過酷な労働から解放したい」という理念は変えずに取り組みたい。
・株主総会に多くの人が出席できるよう、開催日や時間を他社と被らないように工夫してほしい。以前も要望したが変わらない。
社長:検討します。
・社外取締役の岩崎氏は、10年以上御社の社外取締役を務めているが、経営に改善がみられない。経理のプロより経営に明るい人に交代してもらったらどうか?
社長:岩崎氏は他社の社外取締役を歴任した経験を持っておられ、私共もしょっちゅう叱られている。
社長:また、今回、新たに2名の女性の社外取締役の就任が予定されている。女性の力で井関農機を盛り立ててもらいたい。
岩崎社外取締役:立場上経営そのものに口をはさむことはできないが、ご指摘いただいた経営のスピードが遅いことなどは指摘してきた。
機会を見つけて取締役会の議事なども公表したい。
今後も井関農機の発展に尽力したい。
他にも質問があったと思いますが、かなり白熱した時間になりました。
私もあと2問ほど質問を用意していましたが、時間が来たと打ち切りになりました。
【私の印象】
・株価は大きく下落し、PBRも0.34倍まで低下。(東証プライム1355社中 下位23位)
株価下落により、配当利回りも2.91%まで上昇。
まさかの減配でもなければ、これ以上の下値不安はあまりないものと思われます。
・経営陣が強い意識で取り組むと宣言している「プロジェクトZ」が奏功して、営業利益率の改善が見られれば、株価も今よりは反発することが期待できると思います。
・さすがに、100周年の2025年度は記念配等の増配があるという淡い期待があります。
・政府はスマート農業器機を導入したい生産者や技術を研究する開発者を融資や税で優遇するスマート農業の普及に向けた新法を閣議決定した(スマ農新法)ことが報じられていますが、井関農機がこの新法にからむことが出来れば、話題を呼ぶ可能性があると思います。
(IR担当はスマ農新法については、現時点では未確定かつ不明と返答していますが・・・)
などから、株価も今よりは反発する可能性があると考えます。
恥をさらせば、同社株は、私の持ち株の最大の評価損になっています。
デイトレ・スイングを中心にやっていたころ、同社株で2回ほど利益がでたため、深く会社を調べずに値ごろ感で安易に買ってしまったのが敗因と考えます。
社長の冨安司郎氏は、みずほ銀行の常務執行役員まで上り詰めた人で優秀なのでしょうが、所詮天下りで四六時中株価を意識した経営を行っているとは思えません。
銘柄選定の時には、『トップが株価を意識した経営をやっているか見極める』ことが、いかに大事かを思い知らされた教訓になりそうです。