9月24日 相場概況
東証一部の騰落銘柄数は値上がり2104/値下がり68
騰落レシオ(25日) 141.50
空売り比率 38.0
売買代金 東証一部 3兆5578億円
マザーズ 1493億円
業種 全業種上昇。海運、保険、銀行が大幅高。
個別 日本郵船(9101)、商船三井(9104)、川崎汽船(9104)の海運大手3社がそろって大幅高。
コンテナ市況の高止まりとか配当取りの動きがでたという解説もありましたが、コンテナ市況の高止まりは今日に限ったことではないですし、配当取りも、例えば、200円の中間配当を発表している日本郵船が8%以上上昇するのは説明がつきません。
これは、上記のように、ちょうど1年前の同日に海運大手3社が上方修正を出したことから、今回も同様に上方修正の発表が見込めるという思惑で買い上がったものと思われます。
今のところ、上方修正や増配の発表はありませんので、週明けは失望売りがでるかもしれません。
ソニーG(6758)が5%を超える上昇になり、年初来高値を更新し、日経新聞で、今期業績が、さらに上振れ余地がでてきたと報じられた日本製鉄(5401)が大幅高になっています。
米国の金利上昇を受けて、三菱UFJ(8306)や三井住友(8316)などの銀行株や第一生命(8750)や東京海上(8766)などの保険株が大幅上昇しています。
GSが目標株価を1550円→1700円、同じく、MSMUFGが目標株価を1900円→2100円に引き上げたルネサス(6723)が7%近い上昇になっています。
その他、上方修正と増配を発表した古野電気(6814)や自己株消却を発表した国際紙パルプ商事(9274)が急伸しています。
反面、信越化学(4063)やエムスリー(2413)などグロース株の一角が逆行安になり、神戸物産(3038)やウエルシア(3141)など小売株の一部に上昇に乗れない銘柄が散見されました。
1Qが大幅減益になったニイタカ(4465)が下落し、直近買われていたサインポスト(3996)やヤーマン(6630)も利益確定売りに押されています。
新株予約権の発行が嫌気されたグローバルウェイ(3936)がストップ安になり、第一四半期報告書の遅延に伴い管理銘柄指定の見込みとなったOKK(6205)も場中値つかずのストップ安比例配分に沈んでいます。
前日新規上場してストップ高まで買われたシンプレクス(4373)は利益確定売りが出て大幅安になり、本日新規上場したレナサイエンス(4889)も公募価格を5割近く上回る初値をつけましたが、ほどなく下落に転じストップ安売り気配で終わっています。
日経平均は急反発!
終値ベースで5日線(30110円)を回復する動きになっています。
しかしながら、このまま一気に高値を更新するには、いましがた時間がかかると思われ、日柄・値幅調整の範ちゅうにあると考えます。
先物の海外勢の手口をみても、買い方筆頭のバークレーズの買い増しとJPモルガン、モルガンSの買戻しは入っているものの、相場の流れを形成するGSが7000枚以上の売りを出し、CSも売り先行になっています。
短期筋のアムロも日経先物に売りを出してきており一本調子の上昇は難しいと思われます。
9/21の急落で形成したマド埋め(30358円)を実現するまでは調整ターンの継続と思われ、下値メドとしては、6/15高値(29480円)、9/3高値(29149円)、25日線(29078円)あたりになるかと思います。
さて、本日はマーケットのバリュエーションと当面の需給を考察したいと思います。
上記は日経平均のEPS(一株当たり利益)の推移ですが、注目すべきは過去最高水準である2000円以上の動きになってきているということです。
コロナ前はアベノミクス効果もあり、およそ1700円くらいで推移していたものが、コロナの影響で急落しています。
500円くらいまでの下落は、先行きを見通せない企業の開示が減ったための影響もあり、あまり参考にはなりませんが、おおむね2020年は1000円くらいで推移していたのが、2021年になってから急回復していることがわかります。
上記は日経平均の予想PERの推移ですが、コロナ前は、おおむね15倍くらいを中心に推移していたことがわかります。
上記は今年になってからの日経平均のPERの推移ですが、年始は割高であったのが、春先にかけて急低下しています。
先日30年ぶりの高値を記録した水準でPERは14倍程度なので、これまでの平均の15倍あたりをつけても、決しておかしくありません。
1倍でおよそ日経平均の2000円に相当しますので、バリュエーション面では日経平均が、年初来高値を更新しても当然あってしかるべしということになります。
次に当面の需給動向を考察します。
上記は、今年の年初以降の主要投資家の累積売買動向ですが、一番の買い越し主体は、大きく買いの頻度が減った日銀ETFになっていて、その次は自社株買いの事業法人になっています。
つまり、日本株を積極的に買い持ちしている主体は少ない状態であり、海外投資家も売り越しになっています。
そういう意味では、恒大集団のリスクがクローズアップされていますが、ネガティブな材料が出ても、相場を売り崩す主体がない状態であることがわかります。
上記は決算発表後のTOPIXの予想EPSと予想配当の推移ですが、企業業績向上とともに増配する企業も増えてきていて、約4%くらい予想配当金が増えていることがわかります。
例年、年金を中心に配当込みTOPIXで運用している投資家は、配当の再投資を信託銀行経由でおこないます。
信託銀行は3月、9月の最終週に先物を買うことにより対応するわけですが、ここもと、4000億円~5000億円程度であった買い越し額が、増配の影響で今回は6000億くらいの買い越しになるのではないかという観測がでています。
そのほか、今週需給で重要な事項としては、月末の日経平均のリバランスがあげられます。
9/6にキーエンス、村田製作所、任天堂が新規採用になったのですが、値がさ株であるため、除外銘柄の売却だけでは足らず、約5000億円程度の他の日経平均採用銘柄の売り要因になるといわれています。
ファーストリテイリングの寄与度が約9%ですから、450億円くらいの売り要因になる計算になり、その他寄与度の高い東京エレクやソフトバンクGなどは注意が必要ということになります。
ただ、上記のように、海外投資家は、こうした売りを見越して、TOPIXより日経平均の先物を大きく売り越ししていることがわかります。
したがって、月末の日経平均リバランスイベントが終了すれば、日経平均先物の買戻しに加わることが予想されます。
したがって、今週前半はTOPIXの買いが先行し、10月に入ってから日経平均の買いにエンジンがかかることが予想されます。
これまで述べてきたように、バリュエーションは割安であり、需給も良好であることから、10月になれば日経平均も再び高値を目指す動きになるのではないかと感じています。