3月11日(金) 相場概況
東証一部の騰落銘柄数は値上がり413/値下がり1707
騰落レシオ(25日)81.19%
空売り比率 51.1%
売買代金 東証一部 3兆3145億円
(メジャーSQの割に少ない。)
マザーズ 1377億円
恐怖指数
業種
個別
イタリアの大手石油会社Eniの子会社から受注・建造していたFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)がメキシコ沖合で原油生産を開始したと発表した三井海洋開発(6269)が急騰し、INPEX(1605)も大幅高になっています。
欧州が、ロシアからのパイプラインによる天然ガス輸入から、LNG(液化天然ガス)に切り替えを迫られ、LNG貯蔵庫の建設をせざるを得ないことを背景に日揮HD(1963)や千代田化工建設(6366)が急伸しています。
ロシアリスクが意識され、木材関連でテーオーHD(9812)がストップ高まで買われ、肥料関連のOATアグリオ(4979)、セキュリティ関連でサイバーセキュリティクラウド(4493)などが大幅高になっています。
世界的に長期金利が上昇したことから、三井住友(8316)や、りそなHD(8308)、ふくおかFG(8354)など銀行株が買われています。
今期営業益20%増の見通しを発表した鎌倉新書(6184)が急騰し、ワークマン(7564)と、コリを緩和するサポーターなど、初のコラボ商品を発売すると発表したコラントッテ(7792)がストップ高まで買われています。
反面、主力グロース株は、ほぼ全面安になり、レーザーテック(6920)やキーエンス(6861)、エムスリー(2413)などが象徴的な売られ方になっています。
4-6月の世界生産計画を1割引き下げる観測が報じられたトヨタ(7203)が4%を超える下落になり、アリババ株安が不安視されたソフトバンクG(9984)も6%を超える下落に沈んでいます。
ロシア事業の一時停止に追い込まれたファーストリテイリング(9983)が昨年来安値を更新し、ロシアの新規投資の一時停止を発表したJT(2914)も大幅安になっています。
マザーズ指数が4%近い下落になる中、メルカリ(4385)やJTOWER(4485)、弁護士ドットコム(6027)など主力株が総崩れになっています。
今期の利益の伸び鈍化が嫌気された菱洋エレクトロ(8068)や投資有価証券の評価損を計上したトビラシステムズ(4441)が急落しています。
日経平均は大幅反落!
SQ値は25457.94円。
4か月連続での低下となり、中期下落トレンドが継続していることを示しています。
そして、本日は幻のSQになっています。
SQの影響もあるのでしょうが、空売り比率51.1%の高水準を記録しています。
騰落レシオも81.19%まで低下してきましたので、短期的にはショートカバーが入ってもおかしくないと思われます。
しかしながら、リバウンドの幅が、徐々に縮小してきており、少なくとも、25日線(26558円)を上抜く動きが出てくるまでは、下落トレンドが継続されると思います。
本来なら、いろんなテクニカル指標が、売られすぎを示してきていて、反騰してもおかしくないのですが、日本の経済制裁の手綱を緩めない「岸田、林、鈴木」の、うなずきトリオを入れ替えないと難しいのかもしれません。
さて、ロシアのデフォルトが近くなってきています。
ロシアのCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)から逆算すると、今後、ロシアが5年以内にデフォルトをおこす確率は、計算上、90.9%になっています。
現実的には、3/16の国債利払いの猶予期間終了となる4/15とか、4/4の国債償還の猶予期間終了となる5/4あたりがエックスデーとなるという見方が有力です。
プーチンは3/5の大統領令で非友好国(日米英EU)に、ルーブル建てで支払うことを認めたとのことですが、西側諸国が認めるはずもなく、デフォルト判定になる可能性が高そうです。
98年のデフォルトの時と違い、今回は、さすがにIMFもロシアを救済することはないと思います。
デフォルトをおこせば、ロシアの国債は、ほぼ無価値になるでしょう。
上記のように、ロシアの対外債務は比較的少なく、世界の与信に対する影響は限定的といわれていますが、PIMCOはロシアCDSを11億ドル、ロシア国債を15億ドル保有していると言われています。
日本のGPIFも約2200億円のロシア関連資産を保有しています。
いずれも、総資産に対して1~2%程度の少額ですので、処理はできると思われますが、いざ、マーケットがおりこみに入れば、大きな下落になる可能性はあると思います。
そして、ロシアは高い代償を支払うことになるでしょう。
ロシアは自給自足の出来る国なので、国が亡ぶことはないのかもしれませんが、
デフォルト→通貨供給拡大(ルーブル大量印刷)→ハイパーインフレ→企業倒産→失業者増加
という道をたどり、かなり苦しい状況に追い込まれると思います。
ロシアの1日あたりの戦費負担は、およそ2.3兆円といわれています。
当初、2日~4日でキエフを陥落させる予定であったのが、大きく目算が外れてきているようです。
いちばん懸念される核の使用ですが、今のところ、中国が「待った!」をかけているようです。
中国としては、一路一帯構想の実現のためにウクライナに巨額の投資をしており、核汚染は避けなければなりません。
ロシアとしても、すでに輸出の60%強を占める中国の支援がなくては復興できないため、中国の言い分は聞かなければ仕方がないという立場です。
(当初ロシア行の人道回廊が設定されたのは、ウクライナ人の為ではなく、約6000人残留していた中国人を逃がすためと言われ、チェルノブイリ原発の停電が復旧したのは、中国の王毅(ワン・イー)外相がロシアに電話をかけた翌日と言われています。)
ロシアの核攻撃がなく、キエフが持ちこたえた場合、巨額の戦費をまかなえないロシアは、撤退せざるを得なくなります。
エックスデーと言われる4月~5月のロシアのデフォルト危険日は、その引き金になるかもしれません。
ウクライナ紛争が終結を迎えれば、マーケットは、いったん急騰するでしょう。
その際、海外投資家が投資対象にするのは、ソニーG(6758)のようなハイクオリティグロース株だと思います。
ここでも、PERが50倍を超えるようなハイパーグロース株は避けたほうが賢明と思われます。
ただ、仮にウクライナ紛争が終結を迎えて、ブル相場が始動したとしても、6月には警戒モードが再開されるかもしれません。
3/10に発表になったCPI(消費者物価指数)は7.9%となり、過去40年で最大です。
ウクライナ紛争は、インフレを急速に加速化させてきています。
日本で言えば、毎月消費税が0.8%づつ上昇するイメージです。
来週のFOMCは、パウエル議長が予告したように25bpの利上げになる可能性が高いと思われます。
しかしながら、FRBは、その場合、6月のFOMCでは50bp~75bpの利上げを迫られるでしょう。
大手証券アナリストの住宅価格低下によるインフレ沈静化という見通しは楽観すぎると思います。
(人は住居の値上げには耐えられても、パンの値上げには耐えられません。)
6月に大幅利上げとなれば、マーケットは あらためてショックを受けるでしょう。
今年は「Sell in May」の格言が当てはまるかもしれません。
インフレに対して耐性のある業種は商社、銀行、不動産です。
上記は225銘柄でCRB指数マイナス相関(インフレに弱い)銘柄群です。
銘柄選定のうえで参考にしていただければ幸いです。