4月8日(金)
【相場概況】
東証プライムの値上がり銘柄数959/値下がり銘柄数823
騰落レシオ(25日) 96.45%
空売り比率 47.2%
売買代金 東証プライム 3兆1093億円
東証スタンダード 651億円
東証グロース 1510億円
【恐怖指数】
【業種】
【個別】
NTT(9432)が4%を超える上昇になり、21年9か月ぶりの高値を更新しています。
今回、東証は浮動株比率の算定方法の見直しをおこなっています。
浮動株式数を求めるうえで、新たに他の上場会社等が保有する株式(政策保有株)、いいかえれば、大株主11位以下の上場会社等の持合い株が固定株に加えられ、上場株式数から差し引かれることになりました。
TOPIXの指数ウェイトは、浮動株×株価=浮動株時価総額の大きい順番に加重平均して求めます。
TOPIXに連動するパッシブファンドは、今回の変更で、指数ウェイトの上昇する銘柄は買い、指数ウェイトが下がる銘柄を売るというリバランスをしなくてはなりません。
実際に浮動株比率が移行するのは、上記のスケジュールで3回にわけておこなわれますが、NTTは指数ウェイトが上昇するトップの銘柄になっていて、先回りの買いが入ったようです。
NTT以外のところでは、ソニーG(6758)、キーエンス(6861)、東京エレクトロン(8035)、任天堂(7974)、ソフトバンクG(9984)などに同様の買いが入ったと言われています。
米株が、やや保守的な分野が物色されていたからか、武田薬品(4502)や第一三共(4568)など薬品株が買われています。
上方修正を発表したSHIFT(3697)が15%近い上昇になり、上方修正と増配を発表したブックオフグループ(9278)も7%を超える上昇になっています。
GSが投資判断を新規に「買い」、目標株価を1200円継続としたココナラ(4176)がストップ高まで買われ、いちよし経済研究所が新規に「A」、フェアバリューを2500円に設定したケアネット(2150)もストップ高まで買われています。
反面、上記浮動株比率の見直しで、指数ウェイトが下がる見通しになっているトヨタ(7203)や三菱商事(8058)、セブン&アイ(3382)などが大幅下落になり、伊藤忠(8001)、東京海上(8766)、OLC(4661)なども下落しています。
上期決算が失望を呼んだUSEN-NEXT(9418)が12%近い急落になり、乃村工藝社(9716)やイオンFS(8570)、インテリックス(8940)なども決算を材料に大幅安になっています。
TDK(6762)やSCREEN(7735)、太陽誘電(6976)など多くのハイテク株が軟調になり、直近人気化していた、ランサーズ(4484)やウェルスナビ(7342)も手仕舞い売りに押されて急落しています。
【テクニカル分析】
日経平均は反発!
25日線(26777円)を意識して下げ止まる動きが見えるも、前日に形成したマドを埋めきらず、4日連続の陰線を形成しています。
短期的には、ストキャスティックスが売られすぎの水準まできているところで、25日線を守りましたので、いったんの反発、または、ヨコヨコの動きが予想されます。
その際には、下降傾向の75日線(27376円)や5日線(27349円)が頭を押さえる可能性があり、MACDが下降トレンドを形成していますので、中期的には下落の方向性と思います。
したがって、短期の200円~300円の反発はあり得るものの、まだまだ予断を許さない状態です。
25日線を割り込むと、大きな下落につながってもおかしくありません。
注目ポイントは4/12の21:30に発表になる米CPI(消費者物価指数)になると思います。
事前予想は8.4%と高い水準になっていますが、発表の結果、米株がどのような反応になるのか要注目です。
いずれにしても、岸田流に言うなら、「緊張感を持って注視し、慎重に見極める」というところでしょうか?
【本日のトピック】
さて、注目された安川電機(6506)ですが、結論から言えば、かなり期待が持てる内容であったと思います。
正直、私も、同じ中国関係と言われる不二越(6474)が、4/4に1Qの決算を発表した後、株価が下落していましたので、安川電機(6506)も期待は持てないと考えていました。
確かに、2021年度(安川電機は2月本決算です。)の実績は、進捗も93.1%にとどまり、かなり苦戦した結果になっています。
ところが、この環境下で、会社が予想した、2022年度通期見通しは 売上5250億円 営業利益720億円と、現状では、かなり強気とも思える数字を出してきています。
内訳を見てみると、為替差益が+75億円乗ってくる予定です。
安川電機は、米ドル為替の平均レートを120.0円と見立てて+75億円の予想をしています。
したがって、営業利益720億円-75億円=645億円 ほどが本業の利益ということになります。
すなわち、売上増益率+9.6% 実質の営業利益率+22%くらいの伸びを予想していることになります。
申し分ない伸び率と思います。
(決算分析は本業がどれだけ伸びているかを見る必要があります。)
安川電機の事業セグメントをみると、モーションコントロール、ロボット、システムエンジニアリングの3事業が主になっています。
そして、セグメント別の受注推移を見てみると、YonY(昨年比)もQonQ(前四半期比)もロボット分野が伸びていることがわかります。
2/24、2/25のブログでも、慢性化する人手不足の中、「労働生産性向上銘柄」が注目されると書きましたが、その流れが、安川電機のロボット分野の伸びに投影されてきていると思います。
そして、懸念していた中国に関しても、2Q、3Qは苦戦していたものの、4Qに再びプラスに転じてきていることがわかります。
恐らく、前述の不二越は、軸受けとか基礎部品が多いのに対し、安川はロボットのような付加価値の高い製品が伸びているということでしょう。
中国はロックダウン延長ということで、製造業は苦戦を強いられる環境になっていますが、逆に人手がなくても稼働できるロボットは需要が伸びてきているということです。
そして、株価については、過去2年の平均PERが50倍なのに対し、現状22.7倍と、かなり割安に放置されていることがわかります。
そして、信用残と貸付残をみると、買い残81万株に対し、機関投資家は1850万株貸付残があり、売り残+貸付残は1895万株であり、超絶な売り超状態であることがわかります。
(需給関係を見るときは信用残だけではなく、IRバンクのサイトで貸付残もチェックする必要があります。)
機関投資家の買戻しで、かなりの上昇余力があることが予見されます。
まとめると、中国景気は厳しく、製造業は苦戦する中、人手不足を補うロボットは好調に転じている。
安川電機も苦戦する予想の中、割安に放置され、売りを呼び込んでいるものの、その逆襲が予見されることが、この決算で読み取ることができるということです。
安川電機が好調であるなら、ファナック(6954)も連想で買われると思います。
ちなみに、PTSでは両社ともに買われています。
もちろん、米国のインフレ指標次第で、マーケット全体が急落する可能性も否定できませんので、比較的短期のスイング目線で狙ってみるのはおもしろいと思います。