11月11日(金)
【相場概況】
東証プライムの値上がり銘柄1260/値下がり銘柄517
騰落レシオ(25日)102.06%
空売り比率 42.7%
売買代金
東証プライム 4兆8749億円
東証スタンダード 1103億円
東証グロース 1616億円
【恐怖指数】
恐怖と貪欲指数:投資家心理 |ティッカー (cnn.com)
【業種】
日経平均が大幅高になったにも関わらず、意外に値下がり業種が多いことがわかります。
値下がり業種の特徴
①米長期金利低下がネガティブになる業種(銀行)
②ディフェンシブ色の強い業種(水産・農林、食料品、建設、電気・ガス)
③インバウンド関連業種(空運、陸運)
(その他製品は個社の要因と思います。)
ここまで、業種物色の方向性がはっきりするということは、相場が転機を迎えている可能性があると思います。
金利低下の恩恵を受けるグロース株の本格的復権がはじまったのかもしれません。
【個別】
グロース株の復権を予感させる象徴が、本日の東京エレクトロン(8035)の値動きです。
同社株は8%を超える急騰になっています。
同社は、2Q決算こそ大幅増額修正したものの、半導体メーカーの設備投資の先送りや抑制の傾向があることから、通期業績を大幅下方修正しています。
今期配当も当初予定の1678円→1482円(記念配200円含む)に減配しています。
コンセンサスも大幅に下回っていて、前日のPTSも激しく売り込まれていました。
前日にSOX指数が10.21%も上昇していたのもあるのでしょうが、大半のアナリストがネガティブと評した同社株が高騰したのには違和感さえ感じます。
恐らく、相場の流れを変えたのは、「次世代半導体を国内で量産する体制が動きだす」という報道であり、政府も支援するとのことです。
まさに、これこそが、亡き安倍元首相が残した「最後の政策」であり、Japan as No1を取り戻すきっかけになり得るものです。
レーザーテック(6920)やアドバンテスト(6857)など半導体関連が全面高になったのは言うまでもなく、ソニーG(6758)やキーエンス(6861)など主力グロース株も大幅高になっています。
ところが、岸田内閣はこの事業に700億円の補助金を支給する方針を打ち出しています。
700億円って・・・桁が1ケタ以上違います。
岸田内閣はこの事業の重要性がわかっていないのでしょうか?
(これでは、ASMLの露光装置を買うだけで終わってしまいます。)
自分の人気取りのために、既得権益者や外国にばらまく金があるのなら、日本国のためになにが本当に必要かを自ら考え信念を貫くべきと思うのですが・・・
所詮、総理になることが最終目標だった政治家に期待しても無理なのでしょうか・・・?
東証グロース市場の人気株が高騰し、フリー(4478)やウェルスナビ(7342)、HENNGE(4475)、eWeLL(5038)などが10%を超える大幅上昇になり、JTOWER(4485)は一時ストップ高になるまで買われています。
www.nikkei.com
化粧品通販や健康食品大手のDHCを、3000億円程度で買収すると発表したオリックス(8591)が大幅高になっています。
事業承継のM&Aが、年々増える中、社名やブランドを残し、IPOや転売も前提としないオリックスは、ファンド等と違い存在感を増してきているようです。
近視、ドライアイ、老眼などを治療する慶応大学ベンチャーである坪田ラボ(4890)が、場中値つかずのストップ高比例配分になっています。
同社は2Q決算で黒字転換する決算を発表しています。
同時に、「TLG-001」及び「V2」に係る米国ライセンス契約締結を発表しています。
参天製薬と米Verily Life Sciencesとの合弁会社である米TTT社と米国において「TLG-001」に係るライセンス契約を締結し、TTT社は同社に契約一時金10万ドル(1480万円)を支払います。
更に、日米当局の承認、またはテリトリーでの上市後の進捗状況に応じて累計でマイルストーンフィーを2100万ドル(31億円)、更に、販売額が一定額を超えた場合は販売額に応じたロイヤリティを支払うとのことです。
日米当局から承認を取得できるのかというリスクはあるものの、株価が調整したところでのビッグニュースなため、来週はお祭りになるのが必至と思われます。
反面、米長期金利の急低下が嫌気されて、三井住友FG(8316)やみずほFG(8411)など銀行株が逆行安になり、円高が急速に進行したことから、SUBARU(7270)や三菱自動車(7211)など自動車株の一角が軟調になっています。
主力の精機事業において、FPD(フラットパネルディスプレイ)露光装置の販売台数が減少したことから、上半期最終益の進捗状況が、通期目標の45%に留まることを発表したニコン(7731)が12%を超える急落になっています。
半導体露光装置やミラーレスカメラは好調で、円安効果もあったものの補えず、下期以降も厳しい展開が予想されます。
トリドールHD(3397)は通期業績を上方修正するも、コンセンサスに大きく届かなかったことが嫌気されて、7%を超える大幅下落になっています。
海外事業が大幅増収になったにも関わらず減益、利益率低下になったことが、小幅な上方修正に留まった原因です。
過剰反応との見方もありますが、海外事業の先行き不透明感が意識されている部分もあり、来週以降下げ止まれるかが注目です。
ヤクルト本社(2267)は最高益決算となる今期経常利益を
725億円→790億円に上乗せ上方修正し、年間配当も82円→90円に増配する発表をしたにもかかわらず、4%を超える大幅下落になっています。
材料出尽くしとみなされたとのことですが、物色対象がディフェンシブセクターからの乗り換えが進んだものと思われます。
【テクニカル分析】
日経平均は大幅反発!
大幅ギャップアップからスタートし、75日線(27624円)、5日線(27765円)を寄り付きから上抜けています。
10時前には心理的節目の28000円を上抜けし、かなり高く決まったSQ値(28225円)すら上回る非常に強い動きになりました。
ナイトセッションの日経平均先物は28120円 -150円で帰ってきています。
来週以降、押し目をつくり、28000円固めに入るか、ボリンジャーバンドの+2σ(28147円)~+3σ(28607円)の間で推移するバンドウォークに移り、強い相場が継続されるのか注目されるところです。
【本日のトピック】
さて、ご存じの通り、10月CPIが市場予想を下回ったことで、マーケットはインフレがピークアウトしたとみなし、大幅上昇しました。
実際、実体経済には上記のようなインフレ動向に変化を与える構造変化が見られています。
多くのエコノミストは今後、CPIの伸び率は鈍化していくとみていて、2022年末にはCPIは6%程度、2023年末には2%台に収束していくとの予想が多くなっています。
ボストン連銀のコリンズ総裁は、「引き締め過剰となるリスクは高まったとしながらもインフレ沈静化の仕事は終わっていない」とコメントしています。
つまり、「利上げ幅は小さくなるも、インフレ退治のために利上げは継続する。高金利状態が長期化する。」ことを示唆しています。
高金利状態が長引けば経済のダメージは深くなりますので、これからは、「単月CPIの数値」より、現状にFRBがどの様に対処していく方針かをはかる「FOMC議事録」のほうが、マーケットに与えるインパクトが大きくなると思います。
ソフトバンクG(9984)の決算をみても、仮想通貨のFTXが破綻に追い込まれたのをみても、バブルは確実にはじけてきていることがわかります。
インフレピークアウトが見えてきた以上、Badnews is Goodnewsとはならず、Badnews is Badnewsとして評価されるようになるでしょう。
3か月後の米国企業の決算は、おそらく、かなり悪化していて、米国株のEPSが下落すると思われます。
ただ、その中でも、好業績を維持するような企業は、より一層注目されるようになると思います。
ますます、「選球眼が求められる相場」になりそうです。