12月21日(水)
【相場概況】
東証プライムの値上がり銘柄400/値下がり銘柄1388
騰落レシオ(25日) 88.76%
空売り比率 47.7%
売買代金
東証プライム 3兆7191億円
東証スタンダード 898億円
東証グロース 1613億円
【恐怖指数】
恐怖と貪欲指数:投資家心理 |ティッカー (cnn.com)
【業種】
【個別】
昨日に続き、日銀の金融緩和修正を受けて、三菱UFJ(8306)、三井住友(8316)、みずほFG(8411)などメガバンク株が年初来高値を更新しています。
「日銀は長期金利の上限引き上げにとどまらず、将来的にマイナス金利政策を解除する」とのシナリオが銀行株の買いを誘っているようです。
それに対し、地銀株は高安まちまちです。
「国内外の金利上昇が債券価格の下落につながり、地銀の保有する債券の評価損が見えない」との見方もあり、今後は業績による選別が進む可能性が高いようです。
円高が進み、円高の恩恵を受けるワークマン(7564)が買われています。
同社は11月の中間決算で円安による仕入れ価格高騰で通期業績の下方修正の発表をしています。
同社の為替感応度は、1円の円安で営業利益を年間4億円押し下げます。
更なる円高が進めば、一転上方修正もあり得るとの見方もあるようです。
他にも円高メリット銘柄として100円ショップのセリア(2782)、生活雑貨「3COINS」を手掛けるパルグループHD(2726)、海外ファッション通販サイト「BUYMA」を手掛けるエニグモ(3665)、業務スーパーの神戸物産(3038)なども買われています。
↑↑ 尚、10/24のブログでは、円安ドル高トレンドが転換した場合の狙い目銘柄として、良品計画(7453)を紹介していますので、よろしければご参照ください。
サイボウズ(4776)
2425円 +99円(+4.26%)
リコー(7752)
995円 -14円(-1.39%)
サイボウズ(4776)が大幅高になっています。
同社はリコー(7752)と資本提携をし、リコーを割当先とする第三者割当による自社株の処分をおこなうと発表しています。
割当価格は1株2586円で、44億9189万円の調達になり、サーバー機材の購入や米国の組織維持、拡大に使うとのことです。
一方、リコーの出資比率は3.65%となり、第6位の株主になります。
サイボウズが手掛けるクラウド型業務支援ソフト「Kintone(キントーン)」をリコーブランドで国内外に販売する方針のようです。
デジタルガレージ(4819)
4360円 +275円(+6.73%)
アクティビストとして知られる香港の投資ファンド、オアシスマネジメントが同社株を9.26%保有していることが大量保有報告書により判明しています。
オアシスは同社の決済代行事業が競合他社に後れを取っていると指摘し、経営陣の注力と営業人員のリソース(資源)不足が原因としています。
また投資事業も好調な実績を活かしきれていないとし、決済代行事業と投資事業を2つの企業体に分割すべきと指摘しています。
さらにCEOの林郁夫氏にはカカクコム(2371)の会長職を辞任し、同社経営に専念すること、および同社が保有するカカクコム株の全株を売却するよう求めています。
オアシスは「これらの提案が受け入れられれば、株価は100%近い上昇余地があると信じている」とコメントしています。
反面、急速な円高進行を受けて自動車株が全面安になっています。
トヨタ(7203)やホンダ(7267)、日産(7201)は年初来安値を更新しています。
トヨタの下期想定為替レートは135円になっていて、保守的と見られていましたが、現状は既にその水準を割り込んでいます。
トヨタは1円の円高で営業利益を450億円押し下げるとされていて、通期業績の下方修正も懸念されているようです。
マーケットが金利上昇を織り込む動きを見せていて、三井不動産(8801)や東急不動産(3289)、東京建物(8804)など不動産関連株が全面安になっています。
Birdman(7063)
3405円 -215円(-5.94%)
Birdman(7063)が一時ストップ安になるまで売り込まれています。
同社は企画・主催する「5DLIVE®×優里 Xmasワンマンライブ」の開催を、配信システムの不具合で中止することを発表しています。
同ライブはライブ配信技術とデジタルクリエイティブを掛け合わせた新しい映像・エンターテインメント体験を実現するイベントとされていただけに、中止の発表が失望を呼んだようです。
尚、23年6月期の業績に与える影響は軽微とのことです。
【テクニカル分析】
日経平均は5日続落!
前日の安値を当日の終値が下回る「スラストダウン」を形成」しています。
安値でも売りたいという投資家心理を描写していて、下げ止まりの兆候は見られていません。
まさに「落ちるナイフ」状態で、とりあえず落ち着きを取り戻すタイミングを注視する局面と思われます。
【本日のトピック】
ナラティブとファクト
さて、投資用語の中に、「ナラティブとファクト」という言葉があります。
・ナラティブ
ナラティブは「物語」という意味で、実現化していないが市場参加者の間で広く信じられているもの。
まずはこのナラティブに沿って株価や指標が動くと言われています。
・ファクト
ファクトは「現実」という意味で、ナラティブが実現したものも含め、実際に発表された経済指標などが現実となったものです。
通常、ファクトが出てくると、いわゆる「材料出尽くし」となるケースが多いと言われています。
投資格言である「Buy the rumor , Sell the fact(噂で買って事実で売れ)」というのは、ナラティブとファクトを説明したものです。
一方で、ナラティブを否定するようなファクトが出た場合は、織り込んでいたナラティブを否定する方向にマーケットが動くため、その動きは非常に大きいと言われています。
昨日の日銀の金融緩和修正は、まさに、「ナラティブを否定するファクト」になりました。
誰もが、このタイミングでの金融緩和修正はないと思っていましたので、金融緩和継続というナラティブが一瞬で崩壊することになったのです。
(鈴木財務相を含め、総理周辺が把握していなかった?というのは、それはそれで問題と思いますが・・・)
ナラティブが否定されるファクトが出た場合、たいていチャートは崩れます。
この段階で多くの与信管理ができないデイトレイナゴが爆死します。
では、このような時はどのように対応すべきでしょうか?
まずは、マーケットの落ち着きを待つことでしょう。
最低3日くらいは売りも買いもストップし様子をみたほうがいいと思います。
これまでも、年末はボラティリティが高くなりがちなので、ポジションをセーブすることをおすすめしてきましたが、場合によっては、年内お休みでもいいかもしれません。
来週になって、クリスマス休暇明けの外人がどのような反応をするのかも注目されるところです。
機関投資家と違って個人投資家は時間を味方につけることができますので、市場が落ち着いて、次はどのようなナラティブが形成されるのか、じっくり材料を分析するべきと思います。
そして、今回は、株式市場はもちろんですが、為替の落ち着きどころも重要になるでしょう。
今回の日銀のYCC見直しで、ドル円が大きく円高に推移してきています。
為替見通しを円安水準で設定している輸出業者は、下方修正してくるリスクがあると思います。
140円以上は危ないと思われますので、上記リンクで確認しておいたほうがいいかもしれません。