3月24日(金)
【相場概況】
東証プライムの値上がり銘柄850/値下がり銘柄851
騰落レシオ(25日)112.60%
空売り比率 46.0%
売買代金
東証プライム 2兆5249億円
東証スタンダード 930億円
東証グロース 2138億円
【恐怖指数】
Fear and Greed Index - Investor Sentiment | CNN
【業種】
【個別】
東芝(6502)が大幅高になっています。
同社はJIP(日本産業パートナーズ)連合による買収提案を受け入れることを決定したと発表しています。
これを受けて、TOB価格、1株4620円にサヤ寄せする格好で買われたものの、上値は重く、上昇幅縮小になっています。
TOBが開始されるのが、早くとも7月下旬ということで、信用買いなど、資金拘束を嫌う向きが売ってきているようです。
また、日立金属が一部の国で競争法の手続きが難航し、TOB開始まで10カ月も遅れただけに、同社のTOBも、さらに遅延する可能性もあり得るとの見方もあるようです。
TOBは66.7%の応募を成立条件としていて、TOBの不成立を警戒する声もあるようです。
コスモエネルギー(5021)がマドを開けて3日続伸になっています。
同社は2025年までの3カ年の中期経営計画を発表しています。
在庫影響を除いた経常利益を2022年、1400億円→2025年、1650億円に拡大させる目標を掲げています。
また、3カ年累計の総還元性向を60%以上、200円を下限とする安定配当の実施など株主還元を強化する方針を示しています。
株価は昨年8月に2回と今月7日に4305円の高値をつけていて、今回キャッチアップの動きになるか注目です。
パチスロ機大手のユニバーサルエンターテインメント(6425)が大幅続伸になっています。
同社は2023年12月期最終利益見通しを100億円→200億円に上方修正しています。
フィリピンで展開する統合型リゾート事業について、同事業の運営会社が同社の持ち分法適用会社との土地リース契約の一部を解除したことにより、賃貸借契約解約益188億円とリース解約益41億円を営業外収益に計上するようです。
減益予想から一転最終増益を見込むことになり、株価も上値を試す動きになりそうです。
リブセンス(6054)が大幅高になっています。
同社は転職口コミサイト「転職会議」にOpenAI社のChatGPTをAPI連携し、ChatGPTなどで使用されているAIであるGPT-3.5を活用した企業口コミの要約情報の提供を開始したと発表しています。
ChatGPT関連については、やや食傷気味ではあるものの、同社株は小型貸借銘柄で低位株であることから、物色される動きが出たようです。
週明けも物色が継続するようなら、意外高の可能性もあり注目されるところです。
オンラインゲームのサイバーステップ(3810)が急伸しています。
同社は、2023年リリース予定の新作ゲーム「テラビット」で、PC向けのワールドビルド先行プレーを開始したと発表しています。
4月にPCゲーム配信基盤「Steam」を含むパソコン向けに正式にサービスを開始する予定で、スマホやニンテンドースイッチ、プレイステーションなどのプラットフォームには順次リリースする予定です。
株価は3/7高値の717円を突破すれば、加速する可能性もありそうです。
【テクニカル分析】
日経平均は小幅続落!
ギャップダウンでスタートするも、75日線(27219円)近辺では下げ止まり、5日線(27310円)を上回る、3日連続での陽線を形成しています。
ナイトセッションでの日経平均先物は、一時下振れる局面もありましたが、引けにかけて持ち直し、結果、前日の現物水準とあまり、変わらない水準で終了しています。
短期トレンドとしては、下値を切り上げる「アセンディングトライアングル」を形成していて、3/29の権利付き最終日にかけては強含む可能性もあると思います。
日経平均が▲810円下落した3/13週に海外投資家は現物・先物合計で▲2兆3771億円(現物▲5686億円/先物1兆8085億円)の大幅売り越しになっています。
この間、買い手となったのは個人、投信、事法になっていますが、権利落ち後に、これらの国内勢の買い継続が見られるのか注目されます。
今回の権利落ち分は、約250円ほどが見込まれていて、高配当銘柄や優待に厚い銘柄などは値動きが荒くなる可能性があります。
結局、米株次第なのかもしれませんが、権利落ち後は、しばらく方向感の定まらない相場が続くのかもしれません。
しかしながら、一部の材料株やIPOでは回転がきいており、市場全体がどっちつかずの中、個別株の物色が活発になるものと思われます。
【本日のトピック】
さて、週末は、ドイツ銀行株が大きく下落し、「クレディスイスに続いて、次はドイツ銀行か!」と、マーケットは騒然となりました。
しかしながら、株価は急落したとはいえ、昨年の安値を割り込んでいるわけではありません。
ドイツ銀行のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)をみても、同行の5年CDSは250bp程度であり、クレディスイスが3000bpを超えたことと比べれば、「マーケットは本気でドイツ銀行は破綻すると考えていない」と思われます。
恐らく、投機筋が時流をみて売り仕掛けをしたと見るべきでしょう。
恐らく、今回のSVB破綻を発端とした金融システム不安は、とりあえず峠を越したものと思われます。
異例のスピードでバイデン政権は預金者保護を打ち出し、FRBは流動性供給を実施しました。
また、クレディスイスについても、スイス政府の強力な介入と要請により、UBSが買収することが決定しました。
たしかに、今後も、いくつかの中小の銀行の破綻はあるかもしれません。
しかしながら、米国では、もともと5000以上ある地銀が、年間に数行破綻するは日常です。
むしろ、「ここ2年半の間で、銀行破綻がゼロ件であったほうが例外的」です。
「G-SIBs」クラスの破綻がないかぎり、徐々にマーケットも銀行破綻に耐性がでてくるものと思われます。
問題は、マーケットが、ある意味「いいとこ取り」をしてしまっているところです。
上記は現状のFEDwatchによるマーケットの織り込みを示したものですが、
・5月、6月は据え置き、ターミナルレートは4.75%-5.00%
・その後は年内に4回の利下げ
を示しています。
つまり、金融システム不安は解消されつつあり、「○○ショック」はおこっていないのに、金利だけは下がっていくという、株式市場にとっては都合のいい解釈になっています。
セントルイス連銀のブラード総裁は「今後数週間、そして数カ月で金融ストレスが緩和する想定の下で、ターミナルレートは5.625%まで引き上げられることが望ましい。」と発言しています。
もちろん、ブラード総裁はタカ派として知られる人物ですので、彼の主張が、そのままFRBの総意であるとは言えないと思います。
しかしながら、パウエル議長は、先日のFOMCで、「年内の利下げは考えていない」と語っています。
FRBのアナウンスと市場が乖離することは、よくあることではありますが、少し、市場が都合よく捉えすぎているように感じます。
目先は、FRBの流動性供給により、バランスシートが急激に増えだしていますので株価、特にNASDAQは強い局面があるかもしれません。
しかしながら、次の5月のFOMCや決算発表が近づけば、マーケットは現実に引き戻される動きになるのではないかと思います。