10月6日(水) 相場概況
東証一部の騰落銘柄数は値上がり1073/値下がり1015
騰落レシオ(25日)100.30
空売り比率 48.2
売買代金 東証一部 3兆7420億円
マザーズ 1466億円
日経平均は続落ですが、値上がり銘柄数のほうが多くなっています。
業種 鉱業、石油・石炭、銀行など上昇。
空運、海運、輸送用機器など下落。
個別 原油価格が上昇する中、INPEX(1605)が連日の大幅高になり、富士石油(5017)や出光興産(5019)など原油関連も大幅高になっています。
日米長期金利上昇を材料に三菱UFJ(8306)や三井住友(8316)など銀行株が買われ、第一生命(8750)やT&DHD(8795)など保険株も物色されています。
セメントの値上げが発表され太平洋セメント(5233)が大幅高になり、住友大阪セメント(5232)も急伸しています。
前日大きく上昇した東電HD(9501)が6%を超える上昇になり、電力株全般に買いが入りました。
任天堂(7974)も後場から買いが入り2%を超える上昇になっています。
反面、日本郵船(9101)、商船三井(9104)、川崎汽船(9107)の大手海運株が寄り付きこそ買われたものの、売り込まれ大幅安になっています。
同じく、レーザーテック(6920)や東京エレク(8095)など半導体関連も失速し、大幅安になっています。
「居眠り病」と言われるナルコレプシー治療薬の第2段階の臨床試験を中断したと発表した武田薬品(4502)が6%を超える下落になり、年初来安値を更新しています。
トヨタ(7203)が6日続落になり、JPMが目標株価を310円→280円に引き下げた三菱自動車(7211)が大幅安になっています。
アフターコロナ関連に幅広く利益確定売りが出て、HIS(9603)やオープンドア(3926)、ラウンドワン(4680)、コシダカHD(2157)などが急落しています。
日経平均は8日続落!
序盤こそ400円を超える上昇になったものの、海外勢と思われる先物の売りがでて、一気に売り崩される動きになり、先物は上下1000円を超える荒っぽい動きになりました。
まさにSQ週の「魔の水曜日」になりました。
テクニカルでも、節らしい節を取っ払ってしまっており、
8/20の26954円 ボリンジャーバンド-3σ(26802円)あたりまで下げてもおかしくない状況です。
ただ、本日は値上がり銘柄数のほうが多い状況で、TOPIXも小幅安にとどまっています。
日経平均は、一部値がさ株の動きで簡単に下にふれる傾向があり、ここは「森を見るより木を見る相場」として、業績不安のない株の下値を丹念に仕込んでいくところと思います。
さて、原油高騰、長期金利上昇、米国債務上限問題、中国恒大問題、岸田ショックなど、悪材料を上げればきりがありませんが、今回の下落の本質は、先日の日銀短観から読み取れる「製造業の限界」なのかもしれません。
上記は日銀短観の自動車の業況判断指数ですが、半導体不足の影響で指数が悪化してきていることがわかります。
そして、半導体不足で作れない状況の中、在庫数も減少してきていることがわかります。
製品在庫は、まだプラスであるものの、流通在庫はすでにマイナスに落ち込んでいます。
つまり、車の購入契約をしても、客先に届くには時間がかかり、お金のやりとりも後ずれしている状況です。
米国では、欲しい車の納品に1年もかかる状況のようです。
自動車業界の年度計画を見ると、販売価格の値上げの効果で経常利益は6月に比べ9月も伸びていますが、売上は作れない状況のため微増にとどまっていることがわかります。
トヨタ(7203)のここもとの下落は、この日銀短観で説明がつくと思います。
自動車産業は価格転嫁することにより、利益ベースではまだ影響はないかもしれません。
ただ、自動車の生産調整は、他の産業にも大きな影響をもたらします。
一番大きな影響があるのが、鉄鋼株です。
上記は日本製鉄(5401)ですが、トヨタが下落するより先に大幅下落していることがわかります。
そして、連日話題になる海運株の下落の要因の一つも、自動車の生産調整であろうと思います。
上記は日本郵船(9101)の信用残ですが、日に日に買い残が増えていることがわかります。
個人が懸命に買い向かっていることがわかります。
本来なら、今のように、日経平均が先物で振り回される時にも、個人の資金がマザーズに回って、小型株はしっかりなんてことがよくあるのですが、上記のように、ここもとの動きは日経平均とマザーズが、ほぼ同じ動きになっています。
これは、個人の資金が海運株やソフトバンクGなどで、捕まってしまっていて、日経平均が下落する局面で、追証などで小形株も売らざるをえない状況になっていると思われます。
企業業績が評価されれば、年末33000円!という論調も多いですが、サプライチェーンの問題に解決の動きが見えない間は難しいのかもしれません。
しばらくは内需関連に絞って銘柄選定するほうがいいのではないかと思います。